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[アイアンのリシャフト:JM312]


フェルールを外したJM312フェルールを外す準備 今回、久津間さんの指導のもとでシャフト交換を行ったのがジョイメニーのJM312。

 首領がJM312を買ったのは約5年前。当時は見た目やブランド名、カタログスペックなどが選択基準で、今にして思えば「なんでこんなの買ったのかなぁ・・」という感じ(笑)。カーボン並の重量のタングステン入りのカーボンシャフトは鈍さが強く、ミドルからロングにかけてとにかく使いにくい。そこで、今回、使い慣れたダイナミックゴールドへのリシャフトを行うことにしたのである。

 まずはフェルール(ネックセル)を外す。
フェルールをお湯で熱して柔らかくして、カッターナイフでシャフトを傷つけないようにしてカット。再利用を考えて傷つけずに抜く方法もあるが、今回はカットしてみました。右の写真が3鉄〜SWまでフェルールをずらした状態。

シャフト抜き フェルールがずれたらシャフト抜き器にセットしてバネの力を加えながらネックをヒートガンで温めてシャフトを抜く。

 抜いたシャフトを再利用しないのなら、ネック部分をガスコンロで軽くあぶって抜いちゃう・・なんて方法もあるのだが、恐ろしく時間が掛かるので、ここはひとつ専用のシャフト抜き器で抜くのがベストである。

 慣れないとなかなか抜けてこず、ひたすらヒートガンで熱するため、ヘッドが熱くなってえらいことになるのだが、慣れてくるとテンションのかけ方と温める場所が必要最小限になり、ネックだけが暖まるだけであっというまに抜けるようになる。

それでも10本抜いてしまうには30分近い時間がかかるのだが・・(笑)

抜いたヘッドとDGシャフトシャフトが抜ける 左が熱を加えてヘッドが抜けた所。よくみるとシャフト先端にバランス調整用の鉛のピンが打ち込まれているのがわかると思う。

 シャフトの再利用のためにはこれをきちんと抜く必要があるのだが、今回は時間がないのでパスである。右の写真が抜いた10個のヘッドと差し替えるダイナミックゴールドのシャフト。なお、ヘッドのネック内部は電動ドリルにリーマを装着して接着剤カスを削り取ってきれいに仕上げてある。

 DGはS-200を使用。あまり知られていないことだがダイナミックゴールドはR,S,Xの3フレックスに対して100〜500までの5種類の数値がつく。この数値は重量を示し、S400/S500(現在は生産されてないらしい)のほうがX100より重量が重くなっている。

先端処理 シャフトにはチップ側(先側)に平行部分があるパラレルシャフトと平行でないテーパーシャフトの2種類がある。

 当然ながらヘッドもその2種類存在し、ヘッドにあったシャフトを入れないと上手くいかないのである。古いアイアンや最近のモデルでも精度を出したいモデルではテーパーが使われており、今回のJM312はテーパーになっていた。

テーパーシャフトは番手別(というか、長さ別)になっており、先端のカットはウェッジでのカットだけですむ。カットした後、先端を45度の角度で面取りして、接着部分のメッキをはがす。上の写真が先端処理を終えたDGのS200である。

フェルールを入れるかりぐみ 先端処理が終わったらヘッドを仮刺しして処理の具合を確かめる。

 処理に問題がなければフェルールを装着する(右写真)。お湯で温めて必要な長さまで差し込んでやればOKである。

 ネックとの隙間は後からの調整で埋めることが可能なので多少深めに差し込んで置いても問題ない。逆に差込がたりないとできあがり寸法がかわったり、強度的な問題が発生するので十分に注意する必要がある。

ヘッドの装着 ここまできたらいよいよヘッドとシャフトの接着である。

 もともと、JM312はフェイスの向きに対してシャフトが左から入っており(簡単に言うとフェイスが左を向いている)、非常にイメージが悪い。そこで、接着の際にシャフトとネックの間に細く切った金属片をシャフトの左(フェイス側)と下(ヒール側)の2カ所にかませてシャフトの入り方をあらかじめ右からになるようにしてある。

 エポキシ接着剤を塗ってシャフトを入れてカシメ処理でシャフトを完全にたたき込む。クラブメイクに関しての雑誌や記事ではカシメについてふれていないモノが多いのだが、接着剤を塗って差し込んだだけではかなり危険だと思うのだが・・ カシメの作業で完全にシャフトをネック内部まで差し込んでしまえばあとは接着剤が乾くのを待つだけ。

フェルール処理 シャフトが装着されたら、フェルールの処理である。
フェルールの直径はネックより少し大きめのモノを選んでいるので継ぎ目が段差になっている。

 しかも今回はシャフトの入り方を変えるために金属片をかませてあるので段差が左右均等ではない。そこでネック部分にテープを巻いてヤスリで段差を削るのである。

 大まかな整形が終わったら耐水ペーパーの帯で仕上げをして、溶剤で接着剤をふいた後にアセトンで表面処理を行う。久津間さんはこの時点でシャフトからネックへのラインのつながりを出すそうだが、私のレベルではそれは不可能・・(汗)

 さて、行程的にはここまでで60%というところか・・?
この後の行程に関しては写真は撮っていない・・というか、そんな余裕がなかったんです (T_T)
汗だくで指導された行程をこなすのがやっとで、ヘトヘトになっちゃいました。・・というわけで、以下は文字だけで紹介。

 まずは一定長さにセットを切りそろえる。切った時点でバランスを計って長さを決定。JM312がカーボンシャフト用のヘッドだったため、38インチで3鉄がD3になる。これではちょっとタフ過ぎるので5mmカットしてD2にし、全体を切りそろえたうえで全体のつながりを計算する。一番重いバランスに合わせて軽いクラブには鉛をシャフト先端に入れて調整。3鉄:D2〜9鉄:D3にし、PW:D3.5、AW:D4、SW:D6ということになった。長さは3鉄で37.75合わせ。

 調整が終わったらグリップを装着して、ロフト、ライ角の調整。ヘッドの調整に関しては久津間さんにやっていただきました(自分ではまず不可能・・)。

 最後に溶剤で接着剤をきれいにし、フェイス面とトップラインをスチールウールで磨いて完成。休み休み、指導を受けながらの作業でしたが、完成するまで6時間ほどかかりました・・うー、大変じゃ。
完成した新・JM312久津間チューンに関してはまた機会をあらためて紹介します。

(C)ゴルフ虎の穴 首領