履歴書は手書きにするべきであり、PCで印刷して提出してはいけないという話があります。
本当に履歴書は手書きにすべきなのかどうかについて、以下の点から書いてみます。
まず、履歴書をPCで作成することにどういう点で利点が有り、どういう欠点があるのかについて作成する側の観点からあげてみます。
履歴書をPCで作成すると以下のようなメリットがあると考えられます。
また、履歴書をPCで作成することのデメリットという点では、
などということがあるでしょう。
しかしながら、PCやプリンタは持っていなくてもネットカフェやキンコーズなどで使えますし、
プリンタのみならコンビニでも充分高品質なプリンタが利用可能です。
また、履歴書ジェネレータな
どのWebサイトを利用すれば、ソフトはブラウザだけで問題ないですし、キーボードとマウスが使えればほとんどスキルは
必要ありません。
手書きの場合は美しい履歴書を作るには一枚作るだけでも時間がかかり、修正液などを使って修正する
ことはできませんのでかなり負担になります。最近は何十社にも履歴書を送らなければならないことも珍しくなく、
同じ手間を何十回も繰り返すのは気の遠くなるような作業になります。
そこで、もしPCで作成した履歴書が提出先で不利に扱われないのなら、PCで美しい履歴書が簡単に作成でき
修正や複製が簡単にできる利益は大変おおきく、手書きで履歴書を書く理由はないと思われます。
ただし、そもそも履歴書を書く目的は提出先の企業に採用されること
ですので、いくら簡単に美しい履歴書が書けるからといって、提出先の企業で不利に扱われ採用されなかったら、
目的が達成できずにPCで履歴書を書く意味がない、つまりPCで作成するべきでないということになります。
そこで、本当にPCで作成した履歴書が提出先で不利に扱われるかどうか、
受け取り側で手書き履歴書を受けとることのメリットとデメリットを考えてみます。
受取側で手書きの履歴書を受け取り、それを有利に評価することのメリットとデメリットを考えてみます。
まずメリットとしてよく言われるのは以下のようなことだと思われます。
対して、受取側で手書きの履歴書を受け取り、それを有利に評価することのデメリットとしては
くらいでしょうか。
まず、手書きの履歴書から作者の人格が読み取れるかどうかですが、
雑な字で殴り書きしていれば几帳面な人ではないというくらいは読み取れるかもしれませんが、
その人の人格まで読み取れるというのは言い過ぎでしょう。
また、几帳面に書かれているからといって、履歴書だけ丁寧に書いたのかもしれず、仕事が几帳面かどうかは分からないでしょう。
履歴書から読み取れる人格の情報は非常に不確かなもの
だと思われます。
手書きの履歴書からは熱意や誠意が読み取れるということに関しては、
手書きの履歴書では手書きで書く時間を使ったということは言えるかもしれませんが、
それが熱意や誠意と直接には結びつかないと思えます。
また、熱意や誠意があって履歴書を手書きにしたにしろ、
PCで簡単に作れるにも関わらず、手書きの履歴書に熱意や誠意を持って取り組んだとしても、
それが採用側の業務に役立つかどうかは疑問が残るところです。
無駄な事に熱意や誠意をもって取り組む人が業務に役立つとは必ずしもいえず、
むしろ効率的な方法で処理をする人の方が採用側の業務には役立つことが多いのではないでしょうか。
さらに、会社のサービス・製品紹介の文書などには熱意や誠意があった方がよいと思われますが、手書きの製品・サービス紹介の文書を作っている会社はみたとことがありません。
手書きの文書に熱意や誠意が現れるというのも疑わしいところです。
むしろ読みやすく美しい文書をPCで作るところに誠意や熱意が現れる
というところもあるのではないでしょうか。
字のうまい下手は手書きの文書で分かると思いますが、
現代の企業の業務で使うビジネス文書で手書きの文書が使われることはまずほとんどなく、
手書きの文書をビジネスで使う特殊な仕事でしか字のうまい下手は問題にならないでしょう。
ということで、このような不確かなメリットしかないのに、応募側に負担を強いて、
かつ読みづらい手書き履歴書を読む手間をかけ、PC履歴書の中の優秀な人を見逃す不利益をあえてとるような企業は非合理的であるから、
無視しても構わないかというと、そうとも限らないかもしれません。
もし、採用側の求めている人材が、多少非合理的な作業でも丁寧にこなし、
言われたことは文句を言わずにやるという人である場合は、
手書き履歴書を丁寧に書いてきた人を有利に扱うということは合理的な選定基準かもしれません。
人格や誠意や熱意ということより、とにかく
言われたことを文句を言わずにこなし、その作業が丁寧であるかどうかをみるということであれば、
手書き履歴書を重視するのも理由があることではないかと思います
それならば、そのような合理的な判断をする企業に採用されるためにも、
履歴書は手書きで書くべきなのでしょうか。
いいえ、結論から言えば履歴書はPCで書くべき
です。
採用側に手書き履歴書を有利に判断すべき合理的な理由があり、そこにPCで作成した履歴書をだせば採用されない可能性が大きくなり、
履歴書を書く目的である提出先に採用されるという目標を達成する可能性が小さくなるので、
PCで作成した履歴書を提出すべきではないと思うかもしれません。
しかし、よく考えてみれば履歴書を書く目的である提出先に採用されるということは、
根本的に、よい企業に採用されてよりよい生活をするという目的が前提
となっていると考えられます。
従業員に負担を強いて、多少非合理的な作業であっても、文句を言わず働かせることをよしとする企業に、
手書きの履歴書を送って採用されて、よりよい生活ができるでしょうか。採用されるということは必ずしもいいことばかりではありません。
手書きを強制することは、一定の企業にとって合理的な採用基準かもしれませんが、応募する側にとっては合理的な基準ではありません。
手書き履歴書を有利とする企業にPCで書いた履歴書を送って採用されなかったら、それはむしろよかったというべきでしょう。
ということで、ここでは
原則的には履歴書はPCで書いて、手書き履歴書を必須とする企業には応募しない
ということをお勧めいたします。
なお、ライフネット生命保険株式会社が2012年末に新卒採用担当者を対象に行った調査によれば、(サンプル数1000)
ということで、70%以上の採用先でPCで作成しても不利にはな
らないということになっていて、
手書き有利とする会社にすべて不採用であっても充分他に選択肢はあります。
手書きで書くと不利である企業も少数ながらあるというこ
とは注目すべきでしょう。
手書きで書くことは必ずしも安全な方法ではないということを示すからです。
また転職エージェントのワークポートという会社が2014年に採用担当者にむけて、
履歴書は手書きでなければならない?
という質問をしたところ、96%の採用担当者がNo
と答えたそうです。つまり96%の採用担当者が履歴書をPCで作成しても構わないと言っているということです。
ちらはサンプル数も示されていないので信頼性に欠けるところがあるかもしれません。
なお、19世紀よりタイプライターが普及してきた欧米では履歴書もPCで作成することが当然となっていますが、
日本では個人で機械で文書が問題なく作成できるようになったのはワープロが普及してきた20年くらい前からであり、
現在は履歴書を手で書くのかPCで書くのかの過渡期にあるのではないかと思われます。
古くから機械で文書を作る手法が普及してきた欧米でPCで履歴書を作るのが当たり前になっているように、
今後は日本でも履歴書をPCで作るのが当たり前になってくるのではないかと考えられます。
早くそのような常識を普及させ無意味な手書き履歴書を書く必要がなくなるように、
なるべく履歴書はPCで作成しましょう。
そうは言っても、通勤の問題やその他の条件の問題で手書き履歴書必須の企業に履歴書を出す必要が出てくる場合もあるでしょう。
そのような場合、PCで少しでも楽に手書きできる方法はないでしょうか。
例えば履歴書ジェネレーター2.0では、
履歴書を作成したあと、その枠や見出しはそのままで、内容だけを出力しない、「白履歴書」出力機能があります。
これを利用して、まずPC上で原稿を作り、細かい編集を済ませた後、PCで作成した履歴書と、
別に枠と見出しだけの「白履歴書」を出力し、PCで作成した原稿をみながら「白履歴書」に手書きで写していくという方法があります。
どこに何をどのくらいのサイズで書けばよいかあらかじめ分かっているため、
いきなり手書き履歴書を書くのに比べて失敗も少なくなるし、楽に書けることが期待できます。
字を書くのが得意でない場合は、自筆の履歴書が要求されてなく、手書きの履歴書だけを要求されているところならば、
代筆サービスなどの業者に、原稿と「白履歴書」を渡して、書き写してもらうと言う手段もとることができます。
また、トレース台などを使って、原稿をそのままなぞれば、
バランスがとれた読みやすい字にするのも比較的容易だと思われます。