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[YGIA Soft Touch STNL] アイアンのスペック測定と調整


AW8鉄 ちょっとマニアックなアイアンなので知っている人は少ないかもしれません。

 YGIA(イギア)というメーカーでパーシモン的なメタルウッドや特殊処理したキャビティアイアンなどがありましたが、これはソフトステンレスのプロキャビティ。

 左の写真の様にウェッジがフラットバック形状で9番から上がキャビティ形状になっており、当時としては比較的上級者向けのキャビティという位置づけだったのですが・・ 試打したときには「うわー、ヘッドがコンパクトで薄っぺらい・・」とビビった覚えがあるのですが、フラットバックのPRO562を使い続けたせいか、オークションで落として届いた時に感じたのは「わ〜、でかっ!」でした(笑)。

ヘッドの大きさ 右の写真はヘッドの大きさを比べたもの。

 左がYGIAで右が久津間PRO562です。
フェースの長さは少し長い程度ですが、高さはかなり違っており、ヒールもトゥも全体的にデカい感じ。

 これだけデカいと重心位置も高くなりそうですが、そこはキャビティ。重心は比較的低い位置にあり球のあがりやすさは抜群です。

 まあ、なんのためにキャビティ構造にしたのかというと、重心位置を下げたりヘッド全体を大きくするためだから、当たり前といえば当たり前ですなんですけど・・(笑) 大きなヘッドだから打ちやすいかというと、そうとも言えないんですよね。ヘッドスピードがそれなりにあって、小さなフラットバックに最適化されたスイングではヘッドがターンしづらかったりして逆に使いづらくなったりします。

 さて、YGIAは3〜SWまでの10本セットを中古でゲットしたのですが、フェースが笑えるほど左を向いていたり番手によって妙にフラットだったりしました。

番手毎の測定ロフト角
3 4 5 6 7 8 9 PW AW SW
21 24 27.5 31 35 39 43 47 52 56
22.1 25.1 27.6 31.6 36.1 39.9 44.0 48.1 53.5 57.0
+3.0 +2.5 +4.0 +4.5 +3.8 +4.1 +4.1 +5.4 +4.5

番手毎の測定ライ角
3 4 5 6 7 8 9 PW AW SW
58.5 59 60 61 61.5 62 62.5 63 63.5 64
58.1 58.6 59.4 60.0 60.6 61.9 61.8 61.9 62.1 61.3
+0.5 +0.8 +0.6 +0.6 +1.3 -0.1 +0.1 +0.2 +0.2

 黄色が標準的な設定角度で下が測定値です。これをみると7/8/9番当たりがちょっとひどいですね。でも、これはロフトとライだけで、さらにプル角というのが存在します。簡単に言ってしまうとヘッドに対してのシャフトの入り方・・ということで(笑)、フックフェースとかスクウェアとかこれが基準になります。

AWのフェースの向き5鉄のフェースの向き さーて、ここからが「実験君」です。

 左がAWのフェースの向きで、左が5鉄のフェースの向きです。5鉄ではわかりやすいようにティペグをスポット近くに貼り付けてあります。

 かなりまともになっているでしょ?
もちろんこれは調整後だよ(笑)。ロフト・ライ測定器にセットして、上の黄色の数値に合わせてネックを曲げるだけなら誰でもできます。

 でも、それではシャフトの入り方は変わりません。10本のクラブ全てでその入り方が同じであれば、左を向いていようと右を向いていようとセットとして成り立ちそうです。

 ところが番手によってシャフトの入り方がまちまちだとフェースの向きがバラバラになっているということになり、セットで考えるとボールが何処に飛ぶのかわからなくなるでしょ(笑)。と、いうわけで、シャフトの入り方を直してクラブの限界までスクウェアに近づけてやる調整(ネック曲げ)を行うわけです。てり先生はもう100セットぐらい曲げたそうで、調整前のクラブをみると調整後のイメージが湧いてくるとのこと。あたしは・・・脂汗たらしながら悪戦苦闘でした・・ 久津間さんは「ちょっとやってみるか見てて」と、手本をちょっと見せてくれるだけ。あとは、自分で見て盗め・・という感じ(笑)。ヒントはいっぱい頂けたのですが、首領頭脳から煙が出てきました・・ てり先生に指導を受けながら、YGIAにいっぱいキズ付けながら何とかイメージが出せるようになりました。でも、セットとしての統一性はまだまだですね(涙)。単品で見ると意外と良い感じになっているのですが・・

シャフト なんとかスクウェアに調整できたので、さっそく打ってきました。右がシャフトですが、シャフトはビゲストのSが入っています。中量級でトルクも普通でしっかり感はありますが、振ってみると軽い感じがします。

 ところが・・(笑) スクウェアに調整したことでセットアップのイメージは格段によくなったのですが、前述したようにヘッドがデカいので長い番手になるとヘッドが十分に帰ってこない感じなんですよね(汗)。使えそうなのは7番ぐらいまでで、6番から上だと意識的にヘッドターンして球を捕まえてやらないとダメ。全体的に軽いこともあるからこれじゃちょっとね〜 てり先生の意見では「トルクの小さなシャフトでヘッドが戻ってくるヤツにすればいいんじゃない?」って事でした。

 ふーむ、全体的にフックフェースにしてあるのはシャフトとのマッチングで戻ってこないヘッドを補う意味が強いのかな。でも、考え方としては、スクウェアなフェースでキッチリ戻ってこさせられるシャフトを入れて使うのが理想的じゃないかなぁ。カーボンは難しいね。やっぱりあたしゃスチールが良いわ。次回はスチールシャフトのフラットバックを調整してみるつもりです・・おほほほほほほ クラブいじりは楽しいわ〜

 蛇足になるけど、蟲とか猫とか(笑)、てりさんに調整済みのアイアンを原価で譲ってもらっている人が多いけど、調整にかかる手間と技術って凄いのよ。ネック調整も大変けど、グリップだのフェルールだのも恐ろしく手間がかかるし、シャフトの掃除やヘッドの掃除もやってみればわかるけど、もの凄い時間がかかるのだ。ショップでの工賃が「高け〜」って私自身よく言うんだけど、実際に体験してみればその妥当性が判断できるとおもいます。一度体験してみるといいよ・・

首領のお薦め度: スクウェアな調整って・・無茶苦茶大変です・・ 87点(技術点)

(C)ゴルフ虎の穴 首領