「ミステリーサークル・真実の最終解答」(パンタ笛吹/VOICE)、読了。著者のパンタ笛吹は、コロラド州ボルダーで「ロックンロール寿司屋」を経営している、「精神世界オタク」。 青山圭秀がすっかりダマされて感激してしまった、『全人類の運命を数千年も前に全て記載した「アガスティアの葉」』のインチキを暴いたり、「インドの聖人」と言われる、サティア・サイババが、少年に性的虐待を加える変質者であり、超能力など何もない単なる手品師、かつ薄汚い犯罪者であったことを暴いた「裸のサイババ」も書いているのは、過去日記でも書いた。 そういう本を書いたとはいえ、パンタ笛吹は、根っからのスケプティック(懐疑主義者)ではない。むしろ逆に、なんでも信じやすいところがあって、(やはり、そういう素質がないと、精神世界オタクにはなれないのだが)実は、サティア・サイババのことも、「裸のサイババ」を書くまで、聖人だと信じきっていた。 ミステリー・サークルについても、この著者は、なんらかの超自然のパワーが人類への警告として作り出したと信じ込んでいた。日本人を集めたツアーを主催して、サークルの出現を祈って、イングランドの野原でオカリナ吹いたり、ネイティヴ・アメリカンの笛を吹いたりするほど、まさに「病膏肓に入る」ほど信じていたのである。 もっとも、信じきったままでは話は終わらない。神秘的な超自然の力の実在を、誰よりも希求するがゆえに、真理を真理をと、真剣に探求してゆくと、そこにある欺瞞を、自分自身で暴かざるを得なくなるのが、この人の悲劇でもある。 この本は、一時期、パンタが超自然の力が作り出したと信じきって凝っていた、イングランドの「ミステリー・サークル」について、その真実、それが人間のグループによって作成されていたということを暴くというもの。 昔は、南イングランドの麦畑に現れた、単純な図形にすぎなかったミステリー・サークルだが、年々、進化をとげ、最近では、とても信じられないような複雑な幾何学模様が現れている。逆に、図形の複雑性がエスカレーションして行くという事実自体も、なんらかの人間の関与をうかがわせるのだが、パンタ笛吹の調査は、このミステリー・サークルが人間の作成したものであり、実際に作成しているグループに面談するところまでたどり着く。 ひところは、ミステリー・サークルは、なんらかの高次の知的存在が行った人類へのメッセージであると講演までして回っていた著者にしてみれば、逆に無念な結果であるのだが。まあ、これが世の中の真実というヤツか。 ミステリー・サークル(英語ではクロップ・サークルと称するらしいが)の写真も満載で、なかなか面白い本。何か超自然の力がこれを作ったと信じてる人には、ちょっとショックな本でもあるのだが。 |