昨日は午後から残務整理に出勤。うちの階は誰もおらず、警備から鍵を借りて入室。さすがに3連休の真中だ。誰もいない閑散としたオフィスで、のんびり仕事してると、いきなり専務が現れて、資料の修正を言いつかる。 オリジナルのデータを持ってないので、休み中の部長を携帯で呼び出したり、本部長の自宅にFAX入れたり、とんだ大騒ぎになったが、ま、なんとか対応終了。しかし、専務も、3連休の最中にいきなり会社に来て、誰も出社してなかったらどうするつもりだったのか。 仕事は切りのいいところで切り上げ。「神田きくかわ」に寄って、肝焼きにビール、そしてうな重を食べてから帰宅。 「さすらいの麻婆豆腐」読了。「陳さんの四川料理人生」と副題がついている。「料理の鉄人」で中華の鉄人をやっていた、陳健一のオヤジ、日本に四川料理を広めた料理人として有名な、陳建民の人生一代記。 四川の富順の貧困家庭に生まれた陳は、日中戦争をはさんで、重慶、武漢、南京、上海、台北、香港と、自らの料理の腕だけを頼りに渡り歩いた。学校にいったのは、子供の頃の1ヶ月だけ。あとは料理屋の見習から叩き上げた陳が語る中国料理人の一生は、やはり、事実だけが持つ黒光りした重みがある。 それにしても、四川時代に、部下を従えて阿片の栽培をやって儲けたとか、若くして料理人としての頭角を現してスカウトに次ぐスカウトで店を渡り歩いたとか、四川、香港、日本と、3カ国に奥さんがいるとか(ま、今は香港はメインランドだが)、常人には及びもつかない豪快な一生である。昔の中国は戸籍が整備されておらず、日本に来ている華僑でも、向こうの奥さんはそのままでこっちで結婚したという人も多いらしいが。 日本に来てからも、料理人としての腕を買われ、有名な客が次々について、事業家としても発展してゆくわけであるが、やはり大成功する人間というのは、バイタリティが常人と違うという気がする。興味深く、かつ、ややあっけにとられて読み終わった本であった。 そうそう、この陳建民は、NHK「今日の料理」にもレギュラー出演し、日本に麻婆豆腐を初めて紹介した料理人としても有名。陳のレシピは、本場の麻婆豆腐よりも、トウガラシの辛さや山椒の刺激を控えめにして日本人向けにアレンジされている。しかし、最近は、お台場にも、本場四川から、「陳麻婆豆腐」が上陸して大人気。日本にもすっかり四川の味が広まったということである。 |