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2003/01/09 「帝都東京・隠された地下網の秘密」

「帝都東京・隠された地下網の秘密」(秋庭俊/洋泉社)読了。

東京に長く住んでいると、地下鉄と地下鉄の駅を結ぶ迷路のような地下道で、この先には何があるのか不思議に思う場所はないだろうか。新しく開通した地下鉄の線のトンネルや駅が、なぜか新しく思えず不思議に思ったことはないだろうか。あるいは、なぜこの地下鉄の駅はこんなに地下深くに作られてるのか不審に思ったことは?

この著者は、東京の地下には、すでに戦前から陸軍や政府の手で秘密の地下通路や地下鉄・道路網が構築されており、戦後に設営された地下鉄はそれを巧妙に利用して建築されたと主張する。そして、いまだに残る秘密の地下網を、政府や営団はひた隠しにしているのだと。

もしも、著者の言うように、「東京の下にもうひとつの東京がある」としたら、驚くべきことで、実に興味深い話。この本は、地図によってなぜか違う地下鉄の交差ルートやら、昔の地下鉄建築史の本掲載の古い図版からさまざまな矛盾を読み取り、主張を証明しようとしている。丹念な資料調べには頭が下がるが、残念ながらその主張は説得力のあるレベルには至っていない。いくつか興味をひかれる主張もあるが、証拠と呼ぶにはあまりにも瑣末なものばかりだ。ちょっと本にするにはまだムリがあったという印象。だいたい営団地下鉄の職員が、そんな秘密を守れるようにも思えないしなあ。まあ、ヒマつぶし程度には、結構おもしろい本ではあった。