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2003/06/01 「ブッチャー 幸福な流血」

昨日は、二日酔いの身体を休めてのんびり。書留再配達を待ってたが、11時近くになっても来ない。昼食を取りに外出することにして玄関ロビーに下りると、おりしも何通か書留便を持った配達員が。確認すると私宛のもその中に。なんというグッドタイミング。先に受け取ることにして、一緒にエレベータで私の部屋まで。

雨の日の配達は大変でしょうと問うと、漫才の中川家兄に似た配達員は、「でも、悪いことばかりじゃないですよ」と。雨の週末は在宅率が高いので、再配達がはかどるのだとか。まあ、なんでも考え方次第。働くコツを知ってるなかなか偉い奴である。

車で銀座に出て、特製ちゃんぽんの昼食の後、本屋巡回。

帰宅してNHKのドキュメンタリー「オーストラリアのトラック野郎たち」を見る。Day by dayが ダイ バイ ダイに聞こえるオージー訛りバリバリのトラック運転手達。オーストラリアの広大で美しい空と大地を背景に、電話で次の仕事を探しながら、街から街へと貨物を積んで彼らはただ走り続ける。明日の仕事の保証はないまま、トラックに乗ることが好きだから、ただ道路を地平線へと走り続ける。まさにロードムービーのような人生。自分にまったく関係ない世界の話だけに逆に興味深い。

「自伝 ブッチャー 幸福な流血」(アブドラ・ザ・ブッチャー/東邦出版)読了。アブドーラ・ザ・ブッチャーには、シカゴ・オヘア空港の国際線ロビーで出くわしたことがある。マネジャーも連れず、ひとりで日本からの到着便から下りて来て、タクシーで走り去ったのが印象に残っている。

ブッチャーが、インド人の父とアフリカン・アメリカンの母を持つカナダ人だというのは初めて知った。本名は、ラリー・ポール・シュリーブというのがちょっと笑えるなあ。流血とバイオレンスを売り物に、自分の商品価値を上げるためには何でもやるプロレスラー。自伝としては大して面白くないが、生まれ育った環境で身につけた生き馬の目を抜く抜け目なさと、自分以外は誰も信じないタフネス、そして金になることならなんでもやるハングリー精神はやはり凄い。

表紙はブッチャーの頭を写した写真。トレードマークにもなっている頭の深い古傷だが、流血しやすくするために常に新しい切れ込みをカミソリで作り続けているように見える。あえて買うこともない本であるが、この表紙写真だけでも本屋で手にとって見る価値あり。自らを流血する見世物と割切ったプロ根性。そのブッチャーも67歳。まだリングに上がり続けているのだから、これまた凄い。