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2003/06/22 「シェフ、板長を斬る 」人の人間性。 

5/28日の日記で、「シェフ、板長を斬る 悪口雑言集」(友里征耶/グラフ社)の感想を書いた。著者は、なんだかちょっと妙な人だという印象を持ったが、最近、あちこちの本屋でこの本が置いてある。かなり増刷してるのではないだろうか。

でもって、この人の「行っていい店、わるい店」というページもWebで公開されている訳である。内容的にはほとんど本と同じものであるが、これを読んでいて、本を読んだ時の著者に対する違和感を再確認した。

この友里という人は、自分にかかわる損得にたいへんウルサイ人だ。Webページでも口を極めてボロカス言ってるのは、いわゆる料理評論家が、店で「特別料理を食べてる」のがけしからんということである。しかしその背後にあるのは、「評論たるものがそんなことでは公正を図れない」というトーンではない。要するに「自分は『特別料理』を食べてない」という怨嗟に過ぎないように感じられる。

そして、この人が連発する「特別料理」って言葉もなんだかなあ。評論家が来るからといって急に力入れても、店の実力がいきなり変わる訳でもあるまいに。

もうひとつ、このページで辟易するのは、「シェフ・ソムリエと仲良くなったらリストより安くワインを出してもらえる」とか、「ワインを持ち込むためのコツ」などを得々として説いている部分だ。レストランにすれば、ワインで利益あげるのも、別に誰から責められる筋合いのない本来の営業の一部である。客のワイン持ち込みを認めるのは、店が好意として黙認してるだけで、本来は店と客との利害が相反する行為ではないだろうか。しかし、この人は、「ワイン持ちこみ」に関してこう書く。
「ワインの持ち込み」に成功したといっても、その権利を維持する努力が我々客側には必要です。あくまで、「持ち込み」は店の好意に甘える、といった客の謙虚な態度が、両者の良好な関係を長続きさせます。
ま、語るにおちるとはこのことで、彼は1回でも認めてもらったワインの持ち込みを「権利」だと思ってるのである。損得にうるさく、自分の痛みには人一倍敏感だが、他人の痛みには鈍感というタイプだと見た。「評論」というのは、最低限、自らを律する「矜持」と「公正さ」がなにより求められると思う。この人には、その面で自らを省みる素養がちょっと欠けている。もしも店が「特別料理」を出したら、誰よりも喜んで食べて「得した」と思うタイプである。そう、それは、彼がボロカス書いている料理評論家とまったく同じように。

まあ、本も売れているようなので、そのうちどこかの週刊誌で著者探しやらインタビューが行われるかもしれない。なんとなく今後の顛末に興味があるなあ。いわゆる、「東芝事件」のアッキーと重なるキャラという印象はますます深くなった。ははは。