昨日の夜は、「やすし・きよしと過ごした日々」(木村政雄/文藝春秋)読了。著者は吉本興行元常務。やすきよの元マネジャーから吉本東京事務所長を経て常務。先般、解任とも見られるゴタゴタで吉本を退社している。 素顔の「やすきよ」がどこまで描かれているかと思ったが、この人がマネジャーをやったのは昭和45年から8年半。それ以降はあくまで吉本興行幹部としての付き合い。やすしの素顔については、むしろ親しかったわけでもない小林信彦の「天才伝説 横山やすし」のほうがずっとリアルに描き出している。この本に書かれているのは、ほとんどどこかに書いてあることばかりと言ってもいい。 特にやすしの没落部分については記述があまりにも淡々としている。誰でも知っている表面をなぞっただけなのは、なんとも不可思議でもあるし残念な部分。89年、飲酒運転で人身事故を起こしたやすしに吉本が契約解除を通告し、これが事実上の芸人横山やすしの最後となったのだが、この通告を行ったのがこの著者なのだが。当時のインタビューを見ても、この木村氏は、なんだかずいぶん冷淡な気がしたが、やはりそれほど手を焼いてホトホト愛想をつかしていたということだろうか。イマイチ肝心な事に触れてない気がする、隔靴掻痒の本であった。 |