「おい、ブッシュ、世界を返せ!」(マイケル・ムーア/アーティストハウス)読了。原題は「Dude, where's my country?」。日本では、最近急速にマイケル・ムーア物が売れている。アメリカ本体でもそうなのだろうか。中身はおなじみのブッシュ大統領とイラク戦争批判。ビン・ラディン家とブッシュの親密な関係、サウジアラビアとテロとの結びつき、そしてそれを無視するアメリカ政府。本の中身については、マイケル・ムーアに同意することばかり。 今までさんざん探して見つかっていないのだから、イラクには元より大量破壊兵器は無かったのだ。国連支持の無いアメリカ単独の戦争行為を是認した「有志連合」の国々についてのマイケル・ムーアのコメントは辛辣。 実際、アメリカの戦争を支持した国には、他所の国の戦争を心配するより、まず自分の頭の上のハエを追ったほうがよいような「オンボロ国」が多い。アフガニスタン、アルバニア、アゼルバイジャン、エルサルバドル、エストニア、エチオピア、ニカラグア、コスタリカ、グルジア、パラオ、ポーランド、モロッコなどなど。国際政治に頭突っ込むより、まず自分の国の心配だけしたほうがよい国が勢ぞろい。これは、「ドラえもん」で言うと、ジャイアン・アメリカが、「オレの味方しないとヒドイ目にあわせるぞ」と脅すので、しかたなく空き地に集まった、のび太よりももっと情けない連中ばかりである。 そう、そして、オーストラリア、日本、韓国、スペイン、イギリスなども、このアメリカ支援の「有志連合」に名前を連ねている。これらも大半はアメリカの脅しに屈した国と言うべきか。 「自分がまちがったことをしていると思ったら忌憚なく指摘してくれるのが本当の友人ではないか。フランス人はそういう友人だった。しかし我々は、狂犬のように友人に噛みついたのだ」 マイケル・ムーアはこの本でそう語っている。 ブッシュ2世は2004年の大統領選で負けるのではないか。最近、そんな気がしてきた。親父さんのブッシュも1期で大統領職を追われた。「ブッシュ家は2度勝たない」そういうジンクスが生まれる予感さえする。 親父ブッシュは湾岸戦争に勝利。再選は間違いないとのムードもあったが、経済が悪化してあれよあれよと言う間に人気急落。アーカンソー州知事のビル・クリントンが大統領になると、選挙1年前に誰か予想した者がいただろうか。息子ブッシュは親父の遺恨を晴らしてサダム・フセインを追放。しかし勝利とは呼べない泥沼の道。アメリカ兵はまだイラクで血を流し続けている。米国経済が上向いているのは親父さんと違うところだが、2004年に民主党の意外な候補が勝つことだってありうるかもしれない。 マイケル・ムーアは、かなり本気で2004年にブッシュを落選させようと動いている。 |