「天使と悪魔(上・下)」(ダン・ブラウン/角川書店)、上下2巻を一気に読了。科学と信仰の対立、大量の反物質製造法を発見した科学者殺害、ヴァチカンを巡る陰謀、教皇毒殺とコンクラーベ、イルミナティによる新教皇候補誘拐。事件に巻き込まれたアメリカ人の紋章学者と殺された科学者の娘が、イルミナティによる陰謀を追ってヴァチカンとローマを縦横無尽に巡るサスペンス・スリラー。 ウンベルト・エーコの「フーコーの振り子」から、該博な衒学的知識を何分の一かに削り、哲学的風味も削り、ハリウッド・アクション映画風の味付けをしたような作品。やはりアメリカン・テイストというか。 物語の中で語られる宗教と科学を巡る対立部分の哲学に深みはないのだが、展開が早く飽きさせない。ラストでのドンデン返しには感心した。「フーコーの振り子」を映画にして成功するのは難しいが、この作品は映画化に向いている。実際、コロンビア・ピクチャーが映画化権を取得したとか。映画で舞台のローマを映像化して見られるとまた趣があるだろう。なかなか面白いサスペンスであった。ミラノ、フィレンツエは訪問したことあるが、ローマには行ったことがない。一度訪問したいものだなあ。 |