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2004/06/25 「古代エジプトうんちく図鑑」

「古代エジプトうんちく図鑑」(芝崎みゆき/バジリコ)読了。

古代エジプトの神々。歴代の王朝とファラオ。遺跡発掘と研究の歴史。シャンポリオンやカーターなどエジプト研究者の人物史。古代エジプトにまつわるあらゆる話題を、著者のコミカルなイラストで分かりやすく説明してあって実に面白い。

各テーマは短くまとめられており、どこから拾い読みしても大丈夫なのもすぐれた点。活字を一切使用しておらず、文章部分もすべて著者の手書きという労作。1680円はお買い得だ。

番外編として掲載されている著者のエジプト旅行記「ぴょろーん紀行」も、現代エジプト観光の実像を紹介して、これまた実に面白い。

いい加減で、その場しのぎのウソを平気でつき、お金をむしり取ることしか考えていないエジプト人ガイド達。しかし、そんな彼らもどこか憎めない。ピラミッドについた著者に「閉館時間だ。あと5分で見て回れ」と宣言するガイド。「12時まででしょ」と反論すると、「バレたか」、とニヤっと笑う。遺跡を案内するのが面倒くさくなると、「そんなものは無い!」と宣言するガイド。体調が悪いと、路線の途中で運転を放棄して帰ろうとするバスの運転手もいる。

しかし、行き当たりばったりの著者の旅行を助けてくれるのも、心温まるエジプトの庶民である。迷った著者が道端で食事してる団体に道を尋ねると、リーダーが、「みんな集まれ」と命令。60人ばかりが、道をあーでもないこーでもないと総出で教えてくれる。もっともこの道案内はアテにならないのであるが。

金ばかり要求する理不尽なガイドに、著者が泣きながら抗議していると、回りからエジプト人のオッチャン達が駆けつけてくる。「どうした?」と事情を聞いて、ガイドを怒鳴りつける。「エジプトを嫌いにならないでくれ」と案内をタダにさせるオッチャン達。船の時間を尋ねた道すがりのホテルのフロントマンは、部屋に泊まってる現地旅行社の社長を早朝に叩き起こして尋ねてくれる。

貧富の差が産む狡猾さ、しかし困ってる人は必ず助けるイスラムのホスピタリティ。日本の常識、正邪がまったく通用しない混沌とした社会。欧米を旅行しただけでは決して体験できない、宗教も文化も、まさに「異国体験」。エジプトは実に「濃い」なあ。この本の著者は女性なのだが、実に素晴らしい行動力。ま、しかし、いつかエジプトも訪問してみたいものだ。