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2005/02/27 「暗黒神話」「孔子暗黒伝」

週末は、ちょっと用事で西のほうに一泊。むこうの本屋で、「暗黒神話」(諸星大二郎/集英社/コミック文庫)、「孔子暗黒伝」(諸星大二郎/集英社/コミック文庫)
を購入して、帰りの新幹線で読了。

「孔子暗黒伝」は、以前、読んだことがあるのだが、「暗黒神話」は初めて。「孔子暗黒伝」のラストは、「2001年」のスター・チャイルド誕生を思わせるのだが、「暗黒神話」の始まりに繋がっているのは知らなかった。今回、「孔子暗黒伝」の後書きで初めて知って実に感銘を受ける。なるほど。

「孔子暗黒伝」は、記録に残る孔子の伝説や発言を根幹には置くものの、その上に著者の自由な伝奇的イマジネーションを塗り重ねた物語。そして、「暗黒神話」は更に自由に、日本の神話時代に遠く遡る刻印を身体に受けた少年を巡る物語を、時空にかかわらずもっと自由に発展させた壮大で奇妙な伝奇SF。

古墳や古代遺跡を巡る謎を巡る旅、そして現代に甦る神代の神々、卑弥呼や餓鬼、最後には、ブラフマンやアートマンに及ぶ時空を超越した戦いと救いの物語。Horsehead Nebulaまで出てくるのにはぶっ飛んだ。あまりにも荒唐無稽で天文学的にもツジツマが合わない部分も。しかし物語としてはインパクトがありきちんと成立している。そう、諸星大二郎のコミックは、極めて映画的なのだ。映画化したら素晴らしいと思うがなあ。しかし、題材はあまりに東洋的なので、よほど脚色しないとハリウッドに受け入れられないかもしれないが。