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なぜこんな本を買ったか忘れたのだが、どこかの本屋で平積みになっていた。あれは「書原」だったか。「人間コク宝〜ドトウの濃縮人生インタビュー集」(吉田豪/コアマガジン)読了。インタビュー集を読むのはもともと好きだが、この本は実にアクが強く「濃い」芸能人ばかり集めてあって圧倒される。著者はコアな芸能人本収集マニアなのだそうだが、本人も忘れているような細かいことまで持ち出すのがいかにもマニアック。
登場するのは、マイナー、B級、アウトロー、サブカル、犯罪者、変人、変態、暴力などのキーワードでカテゴライズできる芸能人がほとんど。しかし、よくこれだけ集めたな。「マニア」で「濃く」、「過剰な」人生を切り出す、特異なインタビュー集。
どのインタビューも鮮烈に印象に残るのだが、代表的なところを参考までに紹介しておこう。
- チャック・ウィルソン:ボストンで育った少年時代は、少年刑務所を出たり入ったり。一緒にワルをやってた仲間は6〜7人死刑になってるのだとか。眼に狂気があるのは分かってたが、なかなか凄まじい人生である。
- 三浦和義、田代まさし:ま、おなじみの犯罪者コンビであるが、インタビュー読んでも、やはりいかにも変わっている。
- 真木蔵人:「イルな目線で」、「嫌なバイブスが」、「ディスッたほうが面白れえよ」などの語りは、ヒップホップ用語なんだそうだが、こんな日本語をしゃべる人間が本当にいるんだという単純な驚き。頭は明らかに悪そうなのだが、ストレートな本音が伝わってくる。面白いよなあ。
- ジョニー大倉:昔、ホテルのバルコニーから墜落事件を起こしたが、あれは身体を鍛えている頃で、バルコニーの外にブラ下がって懸垂していて落ちたという脱力の真相。朝鮮人差別に遭った少年時代から、常にここではないどこかを追い求めたガラスの心を持った青年の回想が心に残る。
- 高嶋政宏:高島忠夫の長男。まともに見えるが、これがどうして筋金入りのパンク狂。小さい頃から小遣いを使い放題に使えるボンボンが、趣味に徹底して生きるとこれだけ変になる見本というか。いやはや。
- ROLLY:フレディ・マーキュリーがホモだと知った時、「そのままじゃん」と思ってちょっとショックだった。ホモじゃないのにオカマみたいな格好をしている自分に誇りを感じる。と述べる言葉がこの人の実像をよく表している。自分が本当にやりたいことをやると、どこでも鼻ツマミ者になるのだと。他人と違うこと、変わっていることへ拘り続ける生き様は、あっけにとられるほど凄い。
- 内田裕也: Tレックスと喧嘩した、ルー・リードとも口論した、エアロスミスのスティーブン・タイラーを日本来た時に面倒みてやったのはオレ、など、日本にロックをもたらしたプロモーターとしての存在感が凄い。いまだにどこにでも地下鉄で移動するとも語っているのだが、そういえば、この人を昼下がりの千代田線で見かけたことがある。あの年齢であの金髪。一種異様な存在感があったのを思い出した。
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