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2005/08/27 「ギュスターヴ・モロー展」と「西洋美術解読事典」

午前中はゴルフ練習場で軽く一汗。残暑の中とはいえ、だんだんと過ごしやすくなってきた印象。しかし、練習すればするほどショットがブレるのはどういう訳か。ゴルフ達人への道は日暮れて道遠し。

渋谷で開催中の、「ギュスターヴ・モロー展」に。渋谷も実に久しぶり。

キリスト教や、ギリシャ神話に題材を取った幻想的な絵画。Symbolist:象徴主義、の先駆けとも評価されるらしいが、印象派の芸術よりも、ある意味もっと人間のemotionに訴えかける。もっとも、西洋文明の根底にある神話等についてある程度の知識がないと理解できない部分多し。

聖書は読んだことがあるからキリスト教関係についてはある程度理解できても、ギリシャ神話関係はサッパリ知識なし。ケンブリッジに学んだ吉田健一は、酔っ払うとラテン語の詩を朗々と暗誦してみせたそうだ。世界は狭くなり、海外留学も当たり前になったが、日本の西洋理解というのもやはりアメリカが中心。西洋文化の根底における理解という面では、昔の日本人のほうが偉かった気もするな。

「ユピテルとセメレ」、「ヘラクレスとレルネのヒュドラ」、「メッサリーナ」、どれも印象的。そしてサロメとヨハネの首を描いた有名な「出現」。モローが提示する実に異形で不思議な幻想。この絵は、「美の巨人たち」でも取り上げられたことがある。

サロンに出品されて話題を呼んだのは、ルーブルにある水彩画のほう。本展覧会に出品されているのは、パリ、モロー美術館所蔵の油絵のほうだ。油絵は最後までモローが所蔵し、晩年に不思議な線描を追加しているのだが、これがまた不思議さを増幅している。ルーブルに行った折、水彩の「出現」を見たかどうか。思い出そうとしているのだが、もう記憶ははっきりしないのだった。

帰宅してから、購入した図版集をチェック。ヘラクレス、ユピテル、レダ、ガニュメデス、一角獣、サロメなどのキーワードを、「西洋美術解読事典」(河出書房新社)で確認しつつ、再度絵画を見るとなかなか面白い。この事典は、Amazonで見つけて購入したのだが、西洋絵画・彫刻における主題、象徴がいったい何なにかを簡潔に解説してあって、絵画鑑賞には実に役立つ。前に、「聖アントニウスの誘惑」についての解説をたまたま読んで、「ああ、あちこちで見かけた絵はそういうエピソードだったのか」と実に感動した。まあ、普通「聖アントニウス」が誰かなんて知ってる日本人はあんまりいないと思う。彼我の教養の範囲にはずいぶんと違いがあって、それを埋めるには好適な事典。美術の専門家には物足りない内容かもしれないが、普通の人ならこれ1冊あれば西洋美術の理解には十分だろう。美術館に持ってゆけるサイズならもっと便利なのだが、まあそういう訳にもゆかないか。