「お笑い裁判傍聴記」(木附千晶、三代目仙之助他/自由国民社)読了。 日本では、裁判は全国民に公開されている。この本は、日々行われている裁判を著者達があれこれ傍聴に行き、その法廷風景を漫画とエッセイでレポートしたもの。特定の事件について裁判を全て追いかけたようなルポルタージュはあるが、無差別に裁判所に行ってランダムに法廷の様子を傍聴した記録は実に珍しい。裁判所には、毎日のように来ている「傍聴マニア」がおり、面白い裁判をあれこれ巡っているのだとか。「国民の権利」たる傍聴は無料であり、弁当持参で一日中裁判所にいるような「マニア」は定年後の暇な親父などが多いらしい。シロウトが受付にある本日の裁判一覧を観て迷っていると寄ってきて、「今日はこれが見所だ」とか、「この裁判が面白い」とか指導してくれるとも。世間にはいたるところ「オタク」あり。実に「濃い」なあ。 証人が来ていない、弁護側の準備不足等で、開廷早々に次の日程を決めて3分で終わる「3分裁判」も実に多いらしい。検事の後ろで見学する司法修習生が寝ていたり、補佐の裁判官も廷吏も寝ている裁判もある。左翼系の刑事事件では、どんなに傍聴席がガラガラでも必ず傍聴券が必要だったり身体検査される不思議。女性は1個だけよいが男性は一切荷物持ち込み不可という妙な規則。傍聴席が満席だと張り切る検事とか、若い美人だがオタオタして何もできない弁護士だとか。裁判所など行ったことがない身には実に興味深い事実満載。裁判というのは、だいたい一度見に行くとハマるらしい。マニアまでにはなりたくないが、一度くらい傍聴したいもんだよなあ。 一点だけこの本の難を上げると、誤字脱字等、本当にちゃんと校正したのかねという部分が何箇所も。出版社がお粗末で、多分校正などしてないのだろう。まあ、しかしサブカル系の本にはよくある話。読んで十分楽しめる面白い本。題材が普通にしてても十分興味深いのだ。 |