「路上観察で歩くパリ」(稲葉宏爾/角川書店)読了。写真満載のパリ路上観察本。 パリには2日間滞在した経験しかないし、それほど街を歩いた訳でもないから、本に掲載されている写真には、ほとんど始めて目にするようなもの多し。しかし、これがどれも面白い。緑の小型道路清掃車はいかにもパリの街角に映える色合い。ガラス破片を埋め込んだ忍び返しは日本でも古い洋館にあったなあ、とか、街路樹の根元を保護する鉄の輪も昔の日本の街路で見かけたがヨーロッパから伝来したのか、などという新たな発見あり。 フランスのパトカーの前面には、「POLICE」が鏡文字で書かれている。これは前を走る車のバックミラーに映った時にちゃんと「POLICE」と読めるようになってるのである、という記述には、フランス人は実に妙なところに気が回るもんだと感嘆。看板、ベンチ、車止め、キオスク。どれを取っても、やはりフランスと日本は実に違う。 いわゆる日本の「路上観察学界」があれこれ収集した「トマソン」物件の「パリ版」もたくさん収録されているのだが、どこも微妙に日本のものと違う。彼我の感覚の差に感嘆し、パリ旅行しなくても行ったような旅情にひたれる本であった。 |