昨日の夜、ベッドサイドに積んであった「テツはこう乗る 鉄ちゃん気分の鉄道旅 」(野田 隆/光文社)を手にとって読み出したらなかなか面白く、すぐに読了。「鉄ちゃん(テツ)」と称される、いわゆる「鉄道マニア」にも、乗るのが好きなのもいれば、写真撮るのが好きなのもいる、鉄道のウンチクを語る本ではなく、「テツ」でない素人に、「テツ」が魅せられた鉄道の魅力とは何かを、「テツ」の生態(?)ごとに分類して分かりやすく語る本。著者自身の鉄道への愛が感じられるからこそ面白い読み物として成立しているというか。私自身は特段マニアではないのだが、なんでこの本買ったのだったか。 読んで思い出したのが、前回駐在時に、本社から長期出張で滞在していた「テツ」社員。JRを全路線踏破したというツワモノであったが、観察するといかにも「テツ」ならではと思われる行動が多く、なかなか興味深かった。休日にヨセミテ国立公園を案内すると、ハーフドームを正面に見る山頂で、「あっ、鉄道の音が聞こえる」と崖にむかって駆け出す。「鉄道なんてこの辺にあるわけねーよ」と一笑にふしたが、後で地図を見ると、かなり離れてはいるが鉄道の路線がある。あれは風に乗って聞こえてきたのかね。 彼はまた、乗り物の写真撮る時も、腰の構えがちょっと普通の人が写真撮る姿勢と違っていたなあ。なんというか、アイドルの「追っかけ」してるカメラ小僧のごとく、鉄道などの乗り物を撮影する。ま、気合の入り方が違うんだな。 彼がSan Joseの技術博物館に行った時、この姿勢で陳列してた機関車を取りまくってると、奥から白人のジイサマが出てきた。「お前は鉄道好きか」と聞くので「そうだ」と答えると、ジイサマは、「オレは昔この機関車の運転手だったんだ」と語り、普段は入れない運転席の鍵まで開けて説明してくれ、すっかり意気投合したのだとか。博物館で顧問として働いていた、元本職の鉄道屋だったのである。彼はほとんど英語しゃべれなかったのだが、コミュニケーションには問題なかったと。まさしく「テツ」は国境を越えるという話だったのを懐かしく思い出した。そうそう、彼によると、「我々は『鉄道マニア』とは言わないんですよ。『鉄道趣味』と言うんです」とのことでもあったのだが。 |