「渋滞学」(西成 活裕/新潮社)読了。先日の西海岸出張の際、San Joseの三省堂で購入したのだが、うっかりバッグにしまって忘れていた。しかし読み出すとこれが面白い。アッという間に読み終わってしまった。 渋滞について学問的に調べている人がいるというのは寡聞にして知らなかったが、学際的な学問とも言うべきか。何でも真摯に考え詰めれば学問になるもんだと、そんな感慨もわいてくる本。 高速道路での渋滞原因の一位は、事故渋滞ではなく、「サグ渋滞」であるという興味深い知見から始まって、様々な統計や研究を引用して、世の中に起こる「渋滞」について、その理論的な原因や解消方法などを解説した本。誰でも経験する道路での身近な例から、行列、電車、インターネットの世界や動物の世界など、扱っている領域は実に広く、具体的実例や興味深い知見に満ちている。 赤信号で車が何台も連なっている時、青になった途端に全車がアクセルを踏んで同時にスタートしたら、実にスムースに車が流れるのではと誰しも考えたことがあるのでは。しかし、この本には、そうはならない理由が示されている。逆に、スタートまで1台あたり1.5秒という参考数字が示されており、これを知っていると、前に何台いるかをカウントさえすれば、自分がスタートできる時間が推測できるのだ。 行列で、自分の番があとどれくらいでくるかの簡易な時間推定方法、2車線で渋滞してる場合、追い越し車線より走行車線のほうが結果的に早いという統計など、実際の生活に役立つミニ知識もあれこれ。地下鉄の駅などで、「時間調整のため停車いたします」との放送もよくあるが、調整せずにすぐ発車したほうが後でもっと渋滞を引き起こすという事が理解できると、電車で待つにもストレスを感じることが減少する。そんな面でも実社会になかなか役立つ「渋滞学」である。 |