「やっちまったよ一戸建て!! (1)」(伊藤理佐/文藝春秋)、 「同(2)」読了。週刊文春の巻末ひとコマでもおなじみの漫画家、伊藤理佐が自分の住居用に、「お一人様用の一戸建て」を新築するという快挙をなしとげた際のドタバタを描いたドキュメント漫画。 私自身は、今後の人生において一戸建てを新築する計画はまったくないのであるが、子供の頃、親父が神戸の実家を建てた事を思い出した。そういえば、地鎮祭とか、大工さんに差し入れ持ってったりしたことなど、この本に書かれてあることの一部は記憶がある。施主はもっと大変で、全体の設計、建築材料、ユティリティ関係機器の選定など、決めることが目白押し。しかし、出来合いの建売やマンションを選ぶのとはまた違って、細かいところまで自分の好みを反映できる楽しみがある。そして設計者にしても、施主と打ち合わせを重ねる上で結構な冒険もできる。2階から3階まで吹き抜けのトイレなど、出来合い建売の設計では怖くて提案できないのでは。 著者によれば、一戸建て建築はあれこれ大変だったが、いざ建ててみると「また 家建てたい」と思うのだと。まあ、確かにそうだろなあと、家を建てるという人生の大きなイベントを描くドキュメントとして、実に面白かった。一期一会ではあるが、納得行く設計士や工務店と出会えるというのもまた大事なことなんだろう。 |