昨日の夜、日本から届いた「メイキング・オヴ・ブレードランナー」を、ウイスキーをチビチビ飲みながら読んでいたら、つい引き込まれて、読了してしまい、本日はちょっと2日酔い気味。酒の銘柄は、「Gentleman Jack」。昨日、酒屋で、Jack Daniel'sをカウンタに持って行くと、インド人らしい店のオッサンが、同じメーカーでもっといいのが出たからそれにしろ、と言う。前も西海岸で同じような事言われたな。確かに同じメーカーで、こっちのほうが年数が経っていてスムーズなのだそうな。で、一本20ドル。「ブレードランナー」は、イギリス人、リドリー・スコットが監督、ハリソン・フォード主演で82年に封切りされたSF映画だが、アンチ・ユートピア的な暗さと、取ってつけたような最後のハッピーエンドが嫌われたか、劇場公開時には大コケ。しかし、その後ビデオやLDでジワジワと人気が出て、今では、「2001年」と並ぶSFの古典的カルト・ムービーとしての地位を確立した。94年には、結末を修正し、ハリソン・フォードのナレーションも取り去った「ダイレクターズ・カット・最終版」が、LD、ビデオでもリリースされている。
この本は、内部に入って取材する事を許された映画ジャーナリストが、映画の企画段階から、最終の公開までを克明に記録した一種のドキュメンタリーだが、脚本の作成から、資金集め、キャスティング、撮影場所の確保や、特殊効果、音楽等、総合芸術である映画作製の内幕が克明に書かれていて、興味深い。映画製作って言うのも、本当に巨大なプロジェクトだ。
脚本段階ではダスティン・ホフマンが主役に予定されていた事や、「ブレードランナー」と言う名前は、ウイリアム・バロウズの小説の名前だけを買い取った事。資金提供した製作会社との争いや、原作、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」の作者、フィリップ・K・ディックとの交渉など、細かいディテールも映画好きなら楽しめる内容だ。
「ブレードランナー2」という小説のほうも、日本語に翻訳されたが、これには失望した。作者、ジーターの「ドクター・アダー」を以前読んだ時は、ぶっ飛んだものだが、やっぱり他人の作り上げた作品世界で続編を書くのは難しいと言う事だろう。でも、アメリカではこの小説は、結構売れて、3作目も契約したらしい。