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1998/03/31 「インサイド・インテル」

通勤車中で「インサイド・インテル」を読了。マイクロプロセッサの巨大独占企業、インテルの内幕を語ったルポルタージュ。作者はTim Jackson と言うアメリカのジャーナリストだ。題名は勿論、インテルの一大キャンペーン「Intel Inside」(日本では「インテル入ってる」でしたっけ)をもじってある。

現会長である、アンディ・グローブのエキセントリックなまでの猛烈な仕事ぶりや、経営者としての冷酷な側面。社内での激烈な出世争い。元警官達を雇った社内保安チームによる、機密漏洩防止の為の自社社員を相手にしたスパイ。AMDやサイリクスなどの競争相手を疲弊させて、時間をかせぐ為の、あきれるほどの訴訟合戦や、首にした社員をも次々と訴える情け容赦の無い社風。

DRAM 製造では、舐めきっていた日本勢の攻勢に、一敗地にまみれたものの、マイクロプロセッサに特化し、競争相手を次々と踏みにじって、シリコンバレーに君臨するに至ったインテルの恐るべき歪みも、長所も、冷静な目で深くえぐって、なかなか興味深い。

逆にこういう会社でなければ、競争の激烈なアメリカで現在の地位までのし上がる事は、決して出来なかったに違いない。ぬるま湯の日本企業とは大違いだ。日本でも、もっと嫌な社風のところは沢山あるに違いないが、決してそれが成長を生む原動力になっているとは思えない。インテルのエキセントリックさは、毀誉褒貶はあるものの、確実にこの会社が急成長をとげた一面の原動力を明らかにしているように思える。

そう言えば、文中でも触れられている、1994年のペンテイアムのバグ事件などはアメリカにいた時に起ったので記憶に新しい。バグを発見した数学者のトーマス・ライスリー教授は、せっかく教えてやろうとインテルのテクニカル・サポートに電話したのだが、事の重要性をまったく分かっていなかった担当者に、じゃけんにあつかわれて頭に来たようだ。まあ、どこでも電話のテクニカル・サポートなんてひどいからねえ。