仕事の山場は明日と明後日なので、今日は早めに帰宅。先日購入した、山本弘著「トンデモ・ノストラダムス本の世界」を読み切る予定だったが、なんと、帰宅途中に寄った本屋で、「トンデモ」のほうではデタラメばかりと叩かれている当の御本家、五島勉の最新作、「ノストラダムスの大予言〜最終解答編〜」なんてのを発見。やっぱり出ましたか。1999年前の最後のひと稼ぎ。
奥付けを見ると、平成10年7月25日初版で、すでにこれが第2版となっている。出版社も初っ端から、えらく飛ばして刷ってるようだ。ボロが出ないうちに売り切ってしまう算段なんだろなあ。
「トンデモ」の残りを読み飛ばしてから、五島勉のほうにとりかかる。あいかわらず、「講釈師、見てきたような〜」で、(おそらくは五島の創作と思われる)出展のわからない情報を、さも重大な秘密のように盛り上げる手法には、つくづく感心するが、信憑性無し。実にウソくさいなあ。
今回は、ノストラダムスの秘伝を伝えてきたと言うフランスの秘密団体の人間と連絡が取れて、フランス・サロンのノストラダムスの墓の前で会って話を聞く、と言う筋が目玉。そこで会った「ビノ師」から、ノストラダムス直伝の最後の秘密をこう聞いたと言われても、ご本人以外には「ビノ師」に会った証人もいないし、なんとも真偽の判定のしようがない。と言うか、やっぱり嘘ッパチなんだろうなあ、ご本人の今までの実績を勘案するに。
もっとも五島勉も、昨今、あちこちでバカにされている事を気にしているのはありありと分かる。「と学会」の本も参考にしたのかもしれない。デタラメだと看破されたノストラダムスの伝記の部分などは、「第一作をもう一度ここで振返っておこう」なんてうまい事いって、適当に修正しているし、色々な批判への反論にもページを割いている。
まあ、五島勉の主要な反論としては、当時、世の中の終わりなんて来るはずない、お前は馬鹿だとボロカスに叩かれたが、オゾン・ホールやダイオキシンや、環境ホルモンやインド・パキスタンの核実験等など、当時は考えもしなかった地球規模の危機が目の前に来ているではないか、と言うところか。
しかし、彼がボロカスに批判されたのは、どんな終末が来るかの部分では無く、予言の都合いい部分だけ引用して、「当たった当たった」と恐怖を煽る書き方や、調子に乗り過ぎて、「エダ(江戸)に黒船が来る」とか「ドルス(ダラス)で大王(ケネディ)が殺される」なんて予言がある! なんて、どこを探しても存在しない予言を、どうせ誰も分からんだろうと自分で勝手に創作してあちこちに散りばめたせいなんだけどなあ。
その他の反論についても、まあ、反論できる物だけを、自分の都合のいいように反論すると言った態度がありあり。「フランスで会ったビノ師によると」なんて言われても、会ったかどうかも証明できないような人物の発言を根拠にされても困る訳で。
ま、実にインチキくさい「大予言シリーズ」最後の「カス本」と言うところか。金儲けの為に、フィクションをバカスカ混ぜて、無邪気な読者を騙すのも勝手と言えば勝手で、言論の自由だと言えば、その通り。
しかし、自分が火をつけた「大予言」ブームを間に受けた連中が、世界の終末を信じ、救済を求めてオウム真理教なんかに流れた事を思えば、こういう盲説を更に広める本をまた発行するなんて、ちょっと作者の良識を疑うけどなあ。巻末では、「特別寄稿」として、高橋「何でもすぐ信じる」克彦が、また間に受けて感動してるのには爆笑。
ま、しかし、読む前から結果が分かってる本を、わざわざ買って読んでる私も私なんだけどなあ。とほほ。