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1998/09/30 都内でつまらないお仕事 / 『ゾンビ伝説』

いったん本社に戻って何本か電話を入れてから再び厚木に逆戻り。ちょっと寄り道した新宿の本屋で購入した『ゾンビ伝説〜ハイチのゾンビの謎にいどむ〜』(第三書館)を車中で読む。

余談だけど、本の後ろの広告を読むと、この第三書館って発行所は、「ドラッグカルチャーシリーズ」なんてのを出していて、『マリファナ・ナウ』なんて本には覚えがあるが、他のラインナップもなかなか興味深い。ちょっと転記してみるとこんな感じだ。

『ガマの油からLSDまで』、『素晴らしきハッシシ(写真集)』、『LSDと仏陀とビートルズ』、『神々の糧(ドラッグ)』などなど。しかし、この(写真集)てのはいったい何なのかね。


で、「ゾンビ」ってのは、ジョージ・A・ロメロの映画でも一躍有名になった墓場から蘇った死体の事だが、もともとはカリブ海の元フランス領にして現在は黒人国家、ハイチに伝わる、ヴードゥーの呪いによって蘇った死体の伝説だ。

ロメロの映画「ゾンビ」の原題は「Dawn of the dead(死者たちの夜明け)」だったから、「ゾンビ」って端的でなかなかうまい邦題をつけた担当には感心するね。(もっともロメロのゾンビ物は、「Night of the living dead」、「Dawn of the dead」、「Day of the dead」と三部作になっていて、題名の、「夜ー夜明けー真昼」、に同期して、一作ごとにだんだんとゾンビの量が増えて、白昼堂々と世界を支配して行くという、3部作としての名称の連続は失われてしまった。なんかこんな事書いてると、まりもちゃんみたいだなあ。しかし、まりもちゃん、最近見ないね。ま、どうでもええけど。)


本場ハイチのゾンビについては、医者も満足におらず、文化的にも後進国だったハイチゆえに発生した、単なる迷信だというのが通説だった。だが、80年代に入ってから、実際に医者が死亡診断書を書いた後で、埋葬もされた人間が、何年か後になって偶然に別の場所で生きてる事が証明された事例が何例も出てきた。これは怖いじゃありませんか。墓を調べてみると確かに空っぽで、例外もあるが、本人はただ生きてるだけで、痴呆状態となっており、人間としての感情は残ってないってのも、確かに伝説のゾンビそのもので薄気味悪い。

ハーヴァード大学で民族生物学を学んだ著者が、この事例の研究を行った結果を本にしたものだが、ヴードゥーの呪術師が使う呪いの薬品の材料にフグが入っており、フグ毒テトロドトキシンが仮死状態を作り出すのでは、なんて考察が面白い。日本でも、フグに当たって、もう埋葬しようとしたら元気に生きかえったなんて例が沢山あるらしい。ハイチの場合は埋葬までするから、酸素の欠乏なんかが脳細胞にかなりの損傷を与えて人格が破壊されてしまうのだろうか。このような毒による一種の殺人と蘇生は、ヴードゥー教にもルーツを持つハイチ独特の秘密結社の呪いの儀式らしい。

ただし、ざっと読んだ印象では、わざわざ仮死状態にしてから、墓を掘り起こして蘇生させるという秘密結社の呪いの意図がイマイチよく分からない。なにも掘り起こすまでもなく、そのまま殺してしまったほうが早いもんなあ。もっともハイチの黒人は、すべてアフリカから連れてこられた奴隷だし、ルーツとなったであろうアフリカの民族伝承や宗教なんてのも、こっちにはさっぱり分からないから、まあ理解の範疇外と言えばその通りだが。


部屋に戻るとAMEXからの請求が来ている。中身をチェックすると、今月のハワイ行きの時のチャージが続々到着。ついこの間使ったばっかりなのに、海を越えてもうチャージが来るとは、便利になったというか、世界も狭くなったというか。セルフのガソリンスタンドでレンタカーに給油した16ドルまで忘れずにきっちり来てるとはなあ。<当たり前やって。