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1999/03/07 ロック音楽と悪魔の呪い〜ホテル・カリフォルニア〜

午後は、昨日購入した、「ロック音楽と悪魔の呪い」(鬼塚五十一著/日新報道)を読んで大笑い。副題に、「ロックにはマインドコントロールのメッセージが秘められている」とあるように、ユダヤ陰謀説を信じ込む著者が、ロックミュージシャンは、すべてサタニスト(悪魔崇拝者)であり、彼らのレコードには、すべて彼らの属する黒魔術集団のサブリミナルメッセージが含まれている、と力説する楽しい本。

プレスリーに始まって、ビートルズ、ローリングストーンズ、Tレックス、ディープパープル、ブラックサバスから、デビット・ボウイ、マドンナ、プリンス、マイケル・ジャクソンにいたるまで(いやほんと、これだけよく名前を挙げたもんです)、著名なロックミュージシャンは、すべてロックを操る国際秘密結社「ウィッカ」の影響下にあるんだという。読み進めて行くと、最終的にはお約束のフリーメーソンとユダヤの陰謀に話を持って行く訳だなあ。なるほど。

昔のロック・ミュージシャンは、ジミヘンしかり、ジャニス・ジョプリンしかり、ドラッグに傾倒して、破滅的生活を送っていたのが多いし、曲作りのモチーフとして、オカルトや神秘主義を持ち込んだバンドも多いから、あれこれと妄想を膨らますには題材が一杯だ。それが正しいかどうかは別として。著者の、食うためには何でも書く三文ライターらしい手ズレのした文体も、なかなか味わい深い。

しかし、ブラックモアズ・レインボーのロニー・ジェイムス・ディオが悪魔に魂を売り渡したのだったら、今ごろはもう少し成功していてもよさそうなもんだけど、悪魔も意外にしみったれてるなあ。ローリングストーンズの写真説明、「後列中央がブライアン・ジョーンズ」と書いてあるのが、実はキース・リチャーズだったりして、この手の本にありがちの細かい間違いは多い。

で、この本には、イーグルスも悪魔崇拝者だという記述があって、「Hotel Carifornia」がその証拠として取り上げられている。悪魔崇拝者かどうかは別として、この青春の退廃を感じさせるオカルトめいた唄には、確かにその歌詞によく分からない部分がある。

So I called up the Captain
Please bring me my wine
He said, "We haven't had that spirit here since 1969."


不思議なホテルに迷いこんだ主人公が、ワインを持ってきてくれ、と給仕長に頼むと、「私どもは、1969年から、その手のアルコールはもう置いてございません」と言われる部分だが、昔から何の意味なのか不思議に思っていた。「1969年」に何か意味があるのか。また「spirit」という単語も、一般にアルコールを総称する時に使わないこともないが、普通はもっと強い酒のことだ。

この本の受け売りをすると、「1969年」というのは、アメリカの有名なサタニスト、アントン・ラベイが「悪魔の聖書」を発行した年であり、カリフォルニアにサタン教会を創立し、全米にサタニズム運動を起こしていった記念すべき年なのだという。

ワインはその年以来置いてないと言うのは、キリストの血としてのワインを意味し、わざわざ「spirit」という単語を使っているのは、「聖霊」はすでにアメリカには存在しないのだ、というメッセージなんだそうだ。著者の朦朧とした文章を簡単に説明するとそういう事になる。ふ〜む。

また、このアルバムのインサイドジャケットの写真。ホテル・カリフォルニアのロビーに沢山の人が集まっている後方の壁、3つ並んだ飾り窓の真中には、さりげなくアントン・ラベイが写っているのだという。この本の写真では確認できないが、そんなの写ってたっけ。

悪魔崇拝者アントン・ラベイってのは、スキンヘッドでヒゲをはやした、目つきの悪い、いかにも振興宗教の教祖って感じの男。そうそう、ワールドカップのフランスチームのゴールキーパーにちょっと似ているな。もしもアルバムをお持ちなら、ちょっと確認してみるのも一興かも。