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1999/12/12 「きちんと朝食を取ると身体に悪い」という説

昨日は、「朝食有害説」(渡辺 正/情報センタ出版局)を読了。なかなか面白い。

「朝食抜きは身体に悪い」、「朝食を食べないとかえって太る」、「朝食をしっかり食べて、夜を軽くするのが健康にいい」、なんてのは、あちこちで聞く話だが、著者によると、こういう説にはまったく医学的根拠が無く、全部デタラメなんだという。

  • 朝は食欲がないのが自然で、まだ眠っている消化器に食物を送りこむのはかえって胃腸の負担が増す
  • 午前中の活動エネルギーは、前夜の夕食がグリコーゲンとして肝臓に蓄積されているのでそれで十分
  • 朝食抜くと、その分の摂取カロリーが減ってやせるのが当然
  • 歴史的にも、昔から、人類は昼夜の2食が普通であった
  • 朝食を抜くと、胃腸の調子がよくなり、体内に老廃物がたまらず、糖尿病やリューマチが治り、健康になる
著者の主張は、まあこんなところだろうか。

著者は医学博士であって、個人的にはうなづけるところもある主張のように思うが、ちょっと気になるのは、この著者が、西洋医学をすべて否定する西勝造という人が提唱した、「西医学健康法」の信奉者であるところ。

この「西健康法」というのは、生来病弱であった西勝造という人が、「医者の言うことを聞いてもちっとも健康にならないので、医者の言うことと逆のことをやってみた」、というのがそもそもの発端だということで、どうもそのへんに、そこはかとない「トンデモ」の香りがするんだなあ。

もっとも、この著者があちこちで実践した、断食、生水をたくさん飲む、野菜食中心、などの「西健康法」で、アトピーが治ったり、体調改善した人が多数いるらしいから、実践面ではある程度の効果があるのは事実だという気もする。

ま、私自身は、ここ何年も、ほとんど朝食は取らないので、基本的にはこの本に書いてあることを期せずして実践しているわけだが、別に体調悪いということもなく、昼食がウマイくらいで別に健康には悪影響ないと思う。

「朝食抜くとかえって太る」というのも、実際に抜いてるが、それで別に太ったなんてことはないなあ。朝食取ってた時のほうが痩せてたなんてこともないし。体重の増減は、単純に一日の摂取カロリー合計に比例しているというのが実際の印象だ。もっとも、ビタミンや必須栄養素のバランスを考えると、昼夜の2食ですべてを賄うのは、なかなか困難である気がするので、ビタミンやミネラルについては、サプルメントを飲んだりはしている。

そうそう、この著者によると、男性が結婚してから太りだして、やがては成人病にかかるのは、独身のときは、「きちんと」朝食抜いてるのに、結婚すると奥さんが毎日朝食を食べさせるからなんだそうだ。なんと斬新な説ではありませんか。

ということは、世の奥さんがたは、この本を旦那に読ませると、朝食取らなくなって、朝の支度がラクになるかもしれない。なにしろ、起きたら、水だけ飲んで、すぐに仕事に行くのが一番健康によいらしいから。ま、この結果について責任は持てませんが。はは。

もっとも、この本では、子供にも一日2食を奨励しているようだが、成長期の子供なんかは本当に一日2食で大丈夫だろうか。子供の場合は、胃が小さいから、3食食べても一日の必要栄養素には足りないなんて聞いたことがあるが、そのへんにはちょっと疑問だ。

まあ、とはいえ、普段から朝食取らない身としては、なんとなく理論的裏付けができたようで、安心したような気分にもなるなあ。