うちの課のＴ君は、明後日の日曜日が結婚式。その後、月曜日から、ローマ、ミラノ、フィレンツェ、ベネツィアを巡る新婚旅行に行くらしい。ずいぶんと長い年休を取るので、夕方に仕事の消化状況のチェックなど。 彼は真面目ないい奴なんだけど、ちょっとボーっとしたところがあるので、心配になって、老婆心ながらイタリア旅行の注意事項を伝授することにした。 「いいか、呼んでないのにむこうから近づいてくる奴は全員スリか泥棒だ」 「イタリア人で日本語しゃべる奴はすべて詐欺師だ。話しかけられたら全部無視しろ」 「両手にお土産の紙袋ぶら下げてブランドショップから出てきたら、必ずヒッタクリに狙われるから、片手は常に開けとくように」 「フィレンツェで寂しい路地を歩いたら、ハンニバル・レクター博士が追いかけてくるぞ」 とまあ、最後のは嘘だが、あることないこと注意を与えてるとＴ君の表情が、みるみる心配そうに曇ってくる。人を脅かすのは面白いなあ。ははは。＜おい。 ま、日本人観光客はどこ行ってもフラフラと注意力散漫だから、これくらい脅かしといてちょうどいいのだ。もっともイタリア人が聞いたら怒るかもしれないが。 ちょろっと残業したが７時前には帰路につく。駅を降りると祭りのハッピ姿の人があちこちに。そうか、今週末が三社祭なんだった。