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2000/07/24 セントアンドルースの魔物 

昨日の深夜は、昨日に引き続いて全英オープンゴルフ最終日をTV観戦。トップを行くタイガー・ウッズに、世界ランキング2位のデビッド・デュバルが一時は3打差にまで詰め寄ったが、やはりウッズの地力は頭抜けている。

8打差がついた時点で結果は見えたが、今度は、全英オープンの優勝レコードを塗り替えるかどうかが気になって、結局3時までTVの前に釘付け。

ウッズが難なく優勝して、ジャック・ニクラウスの持つグランドスラム史上最年少記録を更新。24歳でゴルフの4大タイトルをすべて制覇したことになる。

ウッズがトップアマからプロに転向した時には、「確かに素晴らしいプレイヤーだが、まさかニクラウスは超えないだろう」などと噂されたが、グランドスラム達成という意味では、ニクラウスをあっさりと超えた、恐るべきゴルファーだ。

ウッズはまだまだ進歩し続けている。彼の卓越した体力、精神力と技術をもってすれば、おそらく前人未踏の大記録を次々と更新し続けるのも不可能ではないだろう。ゴルフ界に長年君臨した帝王ニクラウスが実質上の引退をした20世紀最後の年に、若き帝王、タイガー・ウッズが名実ともにゴルフ界の頂点に立ったというのも因縁めいている。

それにしても、デュバルは気の毒であった。17番の第2打が、あの恐ろしいバンカーに捕まる。ほとんど垂直に近い背丈を越える壁を一打で出すのは至難の技。しかし、優勝の目はすでに無いとはいえ、一打でグリーンに出さなければ2位タイの座は守れない。当然ながら彼は一番難しいショットに挑むが、このギャンブルは失敗。脱出に成功したかに見えたボールは、無情にも壁の一番上に当たり、またバンカーに逆戻り。

ゴルフの魔物の恐ろしいところは、脱出に失敗したそのボールを、まるで「もう一回打て」と誘うかのように、最初よりも20センチばかり後ろ、より出しやすい場所に落としてくれることだ。

もちろんデュバルは何かに魅入られたように、2打目も直接バンカーからの脱出にチャレンジ。そして、また失敗。ボールは、今度はほとんど垂直のバンカーの壁に数センチの場所に落ちた。もはや、どう考えてもグリーンに向けての脱出は不可能である。

日が傾いたとたんに寒くなってきたセントアンドルースの荒涼たるフェアウェイ。吹き過ぎる風の中の向こうに、デュバルは、ゴルフの魔物の高笑いを聞いただろうか。

結局、そこからクラブを逆手に持って一打打ち、バンカー内で単にボールを移動。そしてようやく脱出して、結局ダブルパー。このバンカーでの大叩きが響いて、最終順位は2位タイから11位に急降下。

PGAのオフィシャルページを見ると、2位タイの賞金は約37万ドル、11位の賞金は5万6千ドル。デュバルは、およそ30万ドルを、あの魔のバンカーの4打で一瞬にして失った。血液が沸騰するような思いで、昨日の夜は眠れなかっただろうなあ。ゴルフの聖地には、新帝王を祝福する女神と共に、確かに魔物がいるのである。

ということで、夜更かししたので本日はたいへん眠い一日。今日は早く寝よう。