LAN経由で常時接続になって、ダイヤルアップ接続をしなくなったら、先日来たNTTの電話代は5000円を割った。解約期間の関係で、まだテレホーダイ手数料1800円がチャージされてたから、本来なら2千数百円。2万円近く払ってた頃からするとエライ違い。アメリカだったら市内通話は一度接続したら何時間使っても数十セントなのに、長年NTTにはムダに貢いできたなあ。 市内通話の従量制もそうだが、たかだか64Kbpsしか速度が出ず、世界標準から見たら笑い者にされるような日本だけのサービス「ISDN」を、インターネット接続には最良のような説明をして売り込んできたのも、NTTの実に悪どいところだ。ま、電電公社以来残ってるお役人体質というか。 もっとも、ISDNがすたれてADSLやケーブルTV、あるいは光ケーブル網による常時接続環境が次々に整備されると、何か変わるだろうか。最近は経済雑誌などでも、「インターネットへのブロードバンド接続で日本が変わる」、などと騒いでいるが、経済記者や評論家の書き飛ばした予想なんぞ当った試しはないからなあ。 ま、日本の家庭のインターネット利用率は、世界の平均からするとずいぶんと見劣りするから、社会的影響度はそもそも低いだろう。これもまあ、元はといえばNTTの高い通信料金が元凶なのだが。 もっとも、現在TVで放映されている番組がインターネットで配信できるようになり、番組単位に見た分だけお金を払う「小額課金システム」が確立したら、これはたいへんに凄いことだ。 「民放TVはタダ」というのは大きな錯覚で、スポンサーが払うCMの料金は、我々が普段買うお菓子や洗剤や車の価額に、広告料として何時の間にか黙って転嫁されている。TV見る人も見ない人も、無条件で払っているだけの話である。タダより高いものは無し。昔の人はいいことを言った。 見たいものを、自分の判断で、本来のコストで見たいだけ見るという社会的なシステムができあがれば、垂れ流しのCMなんぞ必要あるまい。 理論的には、商品に余計に上乗せされたTV広告料金分、消費者物価が下がることになるだろう。もともとTVなんぞ見ない人にとっては福音だ。課金によって収益が左右されることになれば、価値のない番組も淘汰される。子供がTV見過ぎて困るという場合も、視聴を生活の金銭コストとして認識する習慣が根付けば、コントロールが容易になる。まったくよいこと尽くめなんだが。 番組の制作コストをCMでまかなわずに直接課金することになると、原価計算を行って単価設定し、視聴料で回収することになるが、ここには市場原理が働く。売り値が高すぎると思えば誰も購入しない。 現在はシロウトの企業相手にふっかけて濡れ手に泡の広告代理店やTV局、そこに巣食う3流クリエーター、CMだけで稼いでるような芸能人にとっては死活問題かもしれないが、こっちはちっとも困らんぞ。ははは。正当なマーケット・バリューに戻るだけのことである。 もっとも、全世界にこれほどまでに根をおろしたシステムを、そうやすやすと解体するのは困難だろうなあ。一般大衆が、知らない間にボラれているこのTVネットワークというビジネスモデルを考えた人物は、まことに天才であった。 |