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2001/09/04 ゴルフクラブと奇人

本日は朝から部内の勉強会。昨年度の決算に織り込んだ、ゴルフ会員権の減損処理について、部下を集めて解説。入会金部分と預託保証金部分で会計処理が違う点、時価評価ではなく減損処理である点などに力点を置いて説明する。

うちの会社は、より保守的に、業者間の相場が無い、名義変更停止中のゴルフ会員権についても損失を計上したのだが、業績が苦しい会社では、なんだかんだ理由つけて減損を回避した会社も多いだろう。

しかし、このゴルフ場の会員権というのは、実際に評価額を見てると、信じられないくらい価値が下がっているのである。会社の金だから冷静でいられるが、あれはもし自分の金で購入してたら逆上するだろうなあ。購入時には数千万円したのが今や数十万円の価値しかないってのも珍しくない。ああ、接待天国ニッポン。バブル狂乱の夢の跡よ。

一般の事業会社が、たくさん会社名義でゴルフ会員権を購入しており、会社全体で評価損が多額に上ってるなんてのは、欧米の会社では信じられないことかもしれない。

日本の会社のトップは、偉くなってもアメリカほど天文学的な報酬やストックオプションは貰えない。しかし、都心一等地のビルに立派な個室があり、秘書つき、車つき。毎日の宴会でも飲み食いは会社持ち。多額の交際費あり。ゴルフ会員権も会社が与えてくれて、休みでも会社の運転手使ってゴルフに行く。

ま、生活全般に、いわゆる会社持ちの現物給与が多い。所得税の累進課税が激しいからか、こういう何でも会社に付けまわすのが日本のエライさんの特徴。で、会社がたくさん購入したゴルフ会員権は、バブル崩壊して評価が下落。会社には多大な損失。なんか悪循環である。

考えてみれば、赤坂の料亭も、銀座のクラブも、接待用の高級ゴルフコースも、日本独特の習慣だ。ゴルフクラブなんてのは、接待するところではなく、自分の生活圏に密着して、近隣の人とのクラブライフを楽しむ場所であるべきなんだが、日本はやはり社用族天国、交際費天国。

アメリカの西海岸にも、ゴルフクラブはパブリックもプライベートもたくさんあるのだが、日本人の駐在員が入会するのは嫌われる。マジョリティーである他のアメリカ人メンバーとのプライベートな付き合いをまったくせず、ゴルフばっかりやるからだそうで、ま、実にうなづける話である。

そういえば、アメリカ人でも、アップルの共同創業者で、億万長者になったナンチャラ氏は、サンフランシスコ、ルート280沿いの高級ブライベート・ゴルフクラブに入会を申し込んだら断られたそうだ。

彼は頭に来て、腐るほどある金を使って、そのクラブのすぐ横に、自分のためのゴルフクラブをひとつ、ドーンと建設してしまったのだという伝説を聞いたことがある。まあ、そういう奇人だから入会を断られたのか、断られたから奇行に走ったのか。なかなか難しい問題である。