去年の8月に禁煙してから、あちこちの寿司の名店を訪ねて、「寿司道」の探求をしているわけであるが、インターネット上で誰でもレストランのレビューと評価ができる、東京レストランガイドが、なかなか参考になって面白い。 このサイトのいいところは、実際に店を訪問したレビュアーの生の声が登録されているということ。ヘタなガイドよりも役に立つ場合もある。投稿コメントは、サイトの運営側がすべて検閲しており、「2ちゃんねる」のようなバカな書き込みは無い。しかし、それでもなお、ネットの言論の常として、レビューは玉石混交。 人気店になると、どのコメントを信用してよいか判断に困るほど色んな意見が混在している。あんまり信用できないコメントを排除して、店全体の真の評価を読み取るのが、このサイトを上手に利用するコツだ。 では、どうやって、あんまり信用できないコメントを排除するか。 レストランガイドは、店に対する自分の感想を登録すると共に、店に対する評価を「★」の数で、1つから5つまでつけることができる。いわゆる5段階評価。 寿司屋に関するレビューについて言うと、あちこちの店の評価で「★」ひとつを連発しているレビュアーは変人が多く、あんまり信ずるに足りない。そういう輩のコメントには、あんまり重きをおかないほうがいい、というのが私の率直な感想だ。ま、なんでも極端は排除したほうが有益というのは、普遍的な真理でもある。 例えば、よく見ると、有名店には、ことごとく「★」ひとつというような輩がいる。有名な店に最低の評価をすると、なんだか自分がエラクなったような気がするんだろう。まあ、極めて幼児的な性格で、こういう人間のコメントは、あんまり信じるに足りない。 あるいは、銀座の「新富寿司」に対するコメントで、こういうのがあった。 「アボカドの寿司の話をしいていたら、こちらではそう言うのはやってないそうでした。江戸前の寿司の神髄を見させて頂きました。」これは「むにむに」という人のコメントだが、「真髄を見せてもらった」ワリに、店につけた評価は最低点の「★」ひとつ。 銀座新富寿司は、〆た光り物や煮物など、昔ながらの仕事を守る江戸前の名店で、もちろんアボカドの寿司なんてやってない。ただ、この店にもちょっと不親切なところがあって、店内には種札がかかってないのである。 おそらく、この「むにむに」という人は、回転寿司と間違えて、「カリフォルニア巻き!」 とか 「サーモン!」とか店で注文して、大恥かいたに違いない。気の毒ではあるが、その意趣返しで、店の評価を最低にするってのも、あんまりほめられた態度ではない。ネットにはこういう奴が多いね。 なかなかおもしろいので、この人の他の店へのコメントを遡ってゆくと、結構、あちこちの店の評価で「★」ひとつを連発している。しかも、コメント最後には、たいてい、「あ〜おいしかった」と書いてある。きっと実生活でも、さぞやイヤな奴なんだろうなあ。東レスのコメントだけ読んでも、実にいろんなことが分かるもんである。 そういえば、これまた有名な、「すきやばし次郎」についても、「グルメ王」という人は、「どういう訳か巷で騒がれてますが、最近は他の寿司屋も努力しているので、此方ももっと努力しなくては駄目ですね。」と辛口の評価で「★」はひとつにしている。なんでそんなに低い評価にしてるのか、イマイチ腑に落ちない。しかし、この人が、桜新町の「喜よし」という店に書いたコメント見ると、ひょんなところで理由が、なんとなく分かるのですな。 「銀座の「次郎」のように、うちはそんなものはやってないみたいな応対はしないし感じも良い。」「次郎」は、銀座にある超有名な寿司屋だが、旬の最高の魚にこだわって、どんな魚でも年中置いてあるわけではない。また、ここも種札が無いので、ある程度寿司種に関する常識がないと注文するのが難しいのである。 やっぱり、この、「グルメ王」って人も、夏場に「ヒラメ!」とか「サバ!」とか得意になって頼んで、「置いてません」と断られ恥をかいたクチのような気がする。で、仕返しに、「★」ひとつの最低評価を進呈と。ま、もっともらしいことは書いてあるが、なんともトホホな奴だ。 まあ、これは単なる例だが、他を見ても、「★」ひとつの評価を連発する奴には、あんまりロクなのはいない。やっぱり、極端はいけませんな、極端は。 ま、ネットでの言論がいかにいい加減か。語る資格のない奴でも、したり顔で語れることの怖さというか。やはり、どんな情報でも、真偽をどういう風に判定してゆくかが大事ということになるだろう。 余談だが、この東京レストランガイドでは、1人で1600軒以上のレストランをレビューしてる奴とかがいて、こうなるともう、東京レストランガイドにレビュー登録するのが人生の生きがいになってるのだろう。ほとんどビョーキです。 それにしても、「あなたはよいお客様ですか」などというハンドルの人は、1679あるコメントの大半が、どの店にでも当てはまるような、どうでもよい1行か2行のコメント。ま、本人が機嫌よくやってるのだから、他人がどうこういう筋合いではないが、いったい何が楽しいのか、実に不可思議である。 |