昨日はグータラしてたのだが、午後からゴルフの練習に。寒空の下で、我ながら酔狂なことであるが、月曜はゴルフに行くので、ちょっとは練習しておかないと、悲惨なスコアになることは確実なのだ。練習場は、夏場に比べればずいぶんと空いている。しかし、冬でも熱心に練習してる連中が結構いる。 ピッチングから段々と番手を上げて、最後はドライバーを30発ばかり。短いクラブは安定しているが、ドライバーの弾道はまったく安定せず。まあ、普段から練習してないのだから、当然と言えば当然か。はは。 夜は、なぜかトンカツが食べたくなったので外出。たまには行ったことない有名店を選択しようと、上野の「蓬莱屋」に。映画監督の小津安二郎が、ここをヒイキにして、映画にもトンカツを食べるシーンを入れたという、大正から続くヒレカツ専門の有名店。この店では、トンカツではなく、カツレツと称する。御徒町、松坂屋裏の古ぼけた一軒家。 先客は1名だけ。1階のカウンタに着席。卓上に品書きも無いのに、着席するやいなや、いきなり「ご注文は」と問う若い店員のサービスも困ったことであるが、まあ、「カツレツ定食」か「一口カツ定食」か、2種類しか選択は無いわけである。 ここのカツは、まず最初にかなりの高温で揚げ、次に低温の油で2度揚げしているようだ。できあがったカツの衣は木目細かく、よく言えば香ばしく揚がっている。悪く言えば、揚げがきつく焦げる寸前。 カウンタ内の主人は、揚がったカツを、まずお客に出す皿の上に乗せてから、箸で押さえて皿の上でカリカリと包丁で切る。まるでマナ板を汚したくない不精な主婦が家庭でやるような「技」であるが、マナ板の上で切るより、何か具合のよいことがあるのだろうか。不可思議なり。 切る前に、1〜2分、油切りをかねてか、カツを油から上げて休ませるのだが、余熱が通るというより、最初の揚げでほとんど肉汁が飛んでいるようだ。食べてみると、肉も固く、パサついて旨みに乏しい印象。山本益博は、「東京味のグランプリ 勝ち抜いた59軒」で、この「蓬莱屋」について、「優れた職人仕事の結果が皿の上に現れている」と記しているのだが、本当に最近食べたことがあるのだろうか。 つけあわせのキャベツとご飯は悪くない。味噌汁は、蕎麦猪口のような小さな器で供されるのだが、これがダシの抜けた感心しない味。材料費がかかってるから惜しみ惜しみ小さな器で出されるのなら納得行くが、こんなお粗末な味噌汁を、わざわざ蕎麦猪口で出す理屈が分からない。定食がこれで2900円というのは、ちょっと理解に苦しむ値段だなあ。 店の主人らしい揚げ手は、常連らしき客とゴルフ談義。店はそれなりに儲かってるらしい。後から入ってきた、これまた常連らしいお年寄りは、「もう年だから、月に1回くらいしか肉が食えないよ」と主人にボヤイてたが、そういう昔から常連のお年寄りには食べやすいカツなのかもしれない。 トンカツは、どちらかというとヒレ派であるが、ロースカツを食べたくなった夜だった。 |