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2003/03/02 「世界のCMフェスティバル」を見て知る遠いフランス

今日は風が強いがよい天気。午後は気分転換に外出。別にどこに行くあてもないが、何も考えずに歩く。隅田川を渡って、茅場町、水天宮、人形町あたり。そしてちょっと戻って日本橋まで。ブラブラと1時間半ばかり歩いたことになるか。

帰宅して、「世界のCMフェスティバル第1集」のDVDを見る。海外を旅行して時間があると、ホテルの部屋で現地のTV見るのが好きだ。TVCMも、2度と目にすることはないと思うと、旅情もことさら。ジャマイカで見たローカル番組なんかは、実に鄙びた感じでよかったなあ。イギリスのTVもフランスのTVも興味深かった。

でもって、このDVDは、「世界のCMフェスティバル」を主催するジャン・クリスチャン・ブービエというフランス人が、各国のTVCMを監修したもの。解説リーフレットもついてるのだが、フランス人独特の底意地の悪い解説がなかなか面白い。第4集まで出ているとか。

イギリスの食品会社、JOHN WESTの「Red Salmon」の缶詰のCMには笑った。アラスカ辺りの川で熊がシャケを取っている風景。そこに人間が近づいて、熊が取ったシャケを横取りして逃げようとする。怒って人間と格闘になる熊。ドキュメンタリー風の映像なのだが、パンチやキックを出す熊はCG。実にコミカルによく出来ている。最後に人間が汚いトリックを使い熊の股間を蹴り上げて勝利。シャケをかかえて逃げて行く男。そこにかぶさるナレーション。「JOHN WEST eudures the worst to bring you the best. ジョン・ウエストはどんな苦難を耐え忍んでも、お客さまにベストなものをお届けします」。

このDVDが面白いのは、フランス、スウェーデン、ロシア、アルゼンチン、ドイツ、スペインなど、英語圏以外の国のCMもたくさん納められていること。というより、フランス人が監修しただけあって、メディア大国かつCM大国のアメリカの作品は、バドワイザーやナイキ程度。むしろ英語圏以外からの収集に力が入っているというほうが正しい。

このDVDの圧巻は、最後に収められたフランス80年代の「歌う懐かしCM」24連発。言葉が分からないせいもあるが、CMにひとつも知ってるブランドがない。使われてる曲も(1曲だけ使われているビーチボーイズを除いて)まったく知らないメロディーばかり。CMの舞台も、俳優も、画像のセンスも、ユーモアのセンスも、どれにも馴染みがないだけに、逆に驚くほど新鮮に見える。

戦後の日本は急速に欧米化したと言われるが、正確に言うならすべての文化が「アメリカ化」しただけだ。あるいは、広く言うなら「アングロサクソン化」だろうか。フレンチレストランは街にあふれている。しかし、フランスの大衆文化について、普通の日本人は、まずほとんど誰も知らないだろう。他のヨーロッパ諸国やラテンアメリカ諸国についても然り。世界の広さをつくづく感じる、なかなか面白いDVDだ。