昨日の夜はTVで全英オープンゴルフを観戦。SkyPerfecTVのゴルフチャネルでも中継しており、こちらはタイガー組に完全密着。CMの時間を見計らって両方をザッピングしながら。 ロンドンから南東に車で2時間。ドーバー海峡に面したサンドイッチにあるロイヤル・セント・ジョージズ。昔の全英のこのコースで、ドイツのランガーが最終ホールで痛恨のOBを打ったことを奇妙に記憶している。 常に吹きすさぶ潮風。グリーンの幅ほどしかないフェアウエイはデコボコで、ボールがどちらにバウンドするかも分からない。ヒースの茂った深いラフ。固く複雑なアンジュレーションを持つグリーン。セント・アンドリュースよりも更に荒涼として、おそらく神も悪魔も住んでないと思わせるものがこのロイヤル・セント・ジョージズにはある。 青々と芝が茂り、綺麗な庭園のように整備されたアメリカのゴルフ・コースとはまったく違う。西海岸では有名なリンクス、ぺブルビーチ・リゾートの兄弟コースであるスパイグラス・ヒルで一度プレイしたことがあるのだが、ここまで荒涼とはしていない。アメリカでこのコースに一番似ていると思いつくのは、シリコンバレーにあった、経営危機でほとんどコースのメンテがされていなかったオンボロコースである。名前も忘れてしまったが。まあ、しかし、これがゴルフ本場のコースというものなんだろう。 タイガー・ウッズは最初から本調子ではなかった。アイアンの距離感もパットもよくない。コンディションでは、ビジェイ・シンのほうが上回っていただろう。スコアはまったく伸びない。しかし、最終日のスタートの時点で、PGAルーキー、まだ1勝もしていないベン・カーティスが優勝するなどと予想したものがいただろうか。これもゴルフの不思議。 最初のうちは、ベン・カーティスをほとんど映さなかった中継だが、あれよあれよという間に回りが脱落し、トーマス・ビヨーン(おもしろい名前だよなあ)と1位争いになってからは、あわててフォローすることに。それでもなお、生中継ではカーティスのショットをすべてフォローできなかった。 インに入ってさすがに緊張からか崩れだし、連続ボギーもあって、もはやこれまでかと思われたが、リードしていたビヨーンが16番ショートで痛恨のダブル・ボギー。 脱出したかと思ったボールが斜面を転がってまた同じバンカーに。もう一度打ったボールも、やや弱く、同じ斜面を登りきれず、またコロコロとバンカーに戻ってきた。まさに悪夢。自らのミス・ショットを責めるしかないのだが、あまりにも代償は大きい。掌中からエクスプロージョン・ショットと共に去った全英初勝利。勝利の女神はアメリカから来た無名のルーキーに微笑んだ。ビヨーンはきっと昨夜眠れなかっただろう。ゴルフのドラマは時として実に残酷だ。 |