MADE IN JAPAN! 過去ログ

MIJ Archivesへ戻る。
MADE IN JAPAN MAINに戻る

2005/02/22 アメリカで起こったことは遅かれ早かれ日本でも起こる。

昨日の夜、ニュース見ていると、話題のライブドアがニッポン放送の株式を40%超まで取得したとのことでまた話題あれこれ。ずいぶん買ったものだが、ざっと考えると、だいたい13百万株相当を6000円で購入したとして、リーマンへの転換社債で調達した800億円はほとんど使い切ったことになる。村上ファンドがまだ18%保有してるとしても、50%まで買い進むにはライブドアも兵糧が尽きたような気がするな。

まあ、しかし高みの見物には面白い出来事。そういえば、日曜のサンデー・プロジェクトにホリエモンが出演して、だいぶ袋叩き風にやられていた。気の毒な気もするが、なかなか面白かった。彼も口は回るが、言われた言葉に脊髄反射的に口答えするだけで、反論があんまり論理的に聞こえない。そもそも球団買収に名乗りを上げて一躍有名になったが、なんでもブチあげる割にはその後はチャランポラン。ITと放送の融合についても、ポータル・サイトどうのこうの程度の話しかないのでは、もはや数年前のトピックという気が。

アメリカで起こったことは遅かれ早かれ日本でも起こる。それは間違いない。IT企業が中身なくてもIPOで巨万の金を得る。それはアメリカでも起こり、日本でもそうなった。上場企業の時価総額が明らかに理論値より低ければ、買収の対象となる。アメリカでは普通の事であり、日本でもいずれ普通の事となる。それが今起こっていることである。その点で、ホリエモンが、「買われるのが嫌なら上場しなければよい」と語るのはまったくその通り。何ひとつ間違ってはいない。その点では彼は日本での先駆者たるだろう。

しかし、なぜニッポン放送株をという理由になると事情はちょっと変わる。彼の言うようなITとTVメディアの融合など、アメリカでも起こっていない。そもそもホリエモンもいったいネットとTVが融合して何ができるのかまったく具体的なビジョンは呈示できていないのだから。TVが発達しても、ラジオというメディアすら今でも元気に健在。ネットにすべてのメディアが収斂するかというとそんな事はない。

タダだからと錯覚して視聴者が喜んで見ている地上波放送は、スポンサーの商品価格に上乗せされた巨額な広告宣伝費によってまかなわれており、TVメディア各社は、メーカーのような原価低減努力など無縁の売り手市場。いくらでも儲け放題なことは、報道されたフジテレビの平均給与を見るまでもなく自明の事である。強大な排他的ビジネス・モデルがいまだに成功しているのに、回収できるかどうかもわからないネット・ビジネスとの融合をなんで図らなければならないのか。それがTVメディアの本音であり、ラジオ、新聞にしても大なり小なり同様だろう。

そういえば、ライブドアの持ち株が40%超となったので、連結子会社でニッポン放送の業績を取り込めるとのTV報道があった。日本の連結基準は確かに「支配力基準」だが、過半数を所有せず、取締役もまだ出しておらず、先方が支配されることを拒否しているような現状で、ライブドアの監査法人はニッポン放送の連結子会社化を是認するだろうか。支配力基準というのも、赤字子会社の連結外しをブロックするのが主眼だったような気がするが、今回の件のようなのはどうかね。ま、持分法適用は大丈夫か。帳簿閲覧権はあるのだからそれなりにニッポン放送に経営の開示は求めることができる。しかし、今度とも展開には目が離せない。