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2005/03/02 「ゴーン改革最終章〜DNAを受け継ぐ人たち」

昨日の夜、「ガイアの夜明け」で「ゴーン改革最終章〜DNAを受け継ぐ人たち」というのをやっていた。カルロス・ゴーンが後継の日本人COOを選ぶまでのドキュメント。途中までしか見てないのだが、なかなか面白かった。

ゴーン社長の英語には独特のアクセントがあるが、日本人にも聞き取りやすい。会議の席上、プレゼンテーション資料について英語でコメントすると、広報の担当だか経営企画の担当だか、PCを操作する女性が「帰国子女系」の流暢な英語で受け答えする。

役員を集めた新車試乗会の後。テスト・コースでゴーン社長の周りに役員クラスが集まる。「XX-san、what's your opinion?」というゴーン社長の質問に、周りに集まった執行役員クラスが口々に英語で車に試乗した感想をいわゆる「駐在系の英語」で語る。たった2つのシーンだが、日産が、まるで外資系の企業になったかのような。まあ、ルノー傘下になったのは事実だから外資系か。

過去日記に、日産リバイバル・プランが発表された時の感想を書いた。「ゴーン革命」については資産を切り売りしただけという批判もあるが、有利子負債にあえいだ会社が確かにV字回復を果たした。旧来の経営陣ならあのまま泥舟が沈むのを座して待って いただろう。やはり成功と見るのが妥当だ。

企業の体質改善とトップの若返りも急速に進んだ。トヨタの新社長は62歳。ゴーン氏がルノー本社CEOを兼務することとなり、今回選んだ留守を預かる日本人新COOは51歳である。

ま、他人事ながら気になったのが、この急激なトップ若返りが、海外経験のある英語使いだけが重用され、英語をしゃべれない人間が中枢から多数駆逐されたということを意味していないかということ。ゴーン社長との意思疎通の過程において英語は勿論必須だろうが、英語をしゃべる社員だけが重用されているとしたら、日産が会社として失ったものも大きいのではという気もする。英語をしゃべれる社員だけが優秀ということはあるまい。

私自身、5年間アメリカに駐在して、数年前に受けたTOEICは965点。日本のビジネスマンとして英語ができない部類に入るとは思わないが、それでもなお、駐在5年程度で身に着ける語学力ってのはたかが知れているのである。語学力はあるに越したことはないが、企業人として他に必要な能力はいくらでもある。

いずれゴーン氏も日産のCEOを去る日が来る。その後の社内会議もずっと英語でやり続けるのか。「英語使いの茶坊主ばかりが出世しやがって」という揺れ戻し、反動の嵐が吹き荒れたりはしないのか。日本の巨大企業が外国企業の傘下となり、外国人社長の元でどのような企業になるか。日産は日本企業におけるひとつの壮大な実験であるかもしれない。いずれにせよ興味深い。