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2005/03/12 「堤家が株主では世間様が許さない」との諸井発言

仕事がバタバタしてしばし更新お休みしてしまった。今週前半にはくしゃみと鼻水に悩まされる。今までずっと無縁と思っていたが、これはひょっとして花粉症の徴候か。なんらかの閾値を超えると急に発症するようなことも聞いたが、いよいよ来たのかねえ。単なる風邪だとよいのだが。

先週の日経ビジネスに「西武 時が止まった経営」という巻頭特集。面白かったのは、経営改革委員会による堤義明からの権力剥奪について述べた部分。
「西武グループは債務超過ではないし経営が破綻しているわけでもない、義明あるいは堤家が株主の権利を剥奪される理由は何もない。にもかかわらず主力銀行のみずほグループは年が明けると一気に、西武グループの換骨奪胎計画を固める。事実上の義明追放である」
とある。これは過去日記「ホリエモン・バッシングと西武グループ再編」で書いたこととまったく同じだが、冷静に考えればやはり誰でも不可解に思う王権の簒奪である。

そういえば、昨日の記事では、ニッポン放送によるフジテレビへの新株予約権発行について、「フジサンケイグループに属する経営陣の支配権維持が目的で、著しく不公正な発行」に当たるとして、差し止める仮処分決定が行われた。

この決定については当初から、ホリエモンに支配権を渡さないのが目的の不公正な発行だと一般に見られていたところであんまり驚きはない。しかし、ニッポン放送の新株予約権発行が不公正なら、堤義明の経営権を剥奪するだけの目的で当面の資金調達のニーズもない西武鉄道が第三者に割当増資を行い、堤義明の議決権割合を減らすのは「不公正な発行」にならないのか。なかなか興味あるところである。

同様の質問は日経ビジネスも記事の中で「西武グループ経営改革委員会」の諸井虔委員長に行っている。しかし、諸井委員長の返答は、「堤家が株主では世間様が許さない」とのコメントである。市場原理や株主の権利、私有財産制の維持などカケラも念頭にない、まったくもって実に情緒的な話ではないか。

悪人が財産持つのは、お天道様が許さない。諸井委員長は、水戸黄門や大岡越前のような気分なのではないか。「恥の文化ニッポン」はここに健在。日経ビジネスは疑問を呈しても、新聞、TVでは相変わらずの堤バッシングが続いているのがいかにも日本の大衆メディア。「大衆の嫉妬は常に正義を装ってあらわれる」と言ったのは、確か山本夏彦だったか。

ま、もっとも、西武王国については、王座を追われた当の王様が、怯えきって自らの王国を捨てることに同意しているわけであり、まあ他人がどうのこうの言う筋合いではないのかもしれないが。しかし、なんでも王様の言われるがままに動くのが使命だった召使だけが残って、本当に西武グループが運営できるのだろうか。あるいは銀行から派遣された新社長が帝国を私物化して新たな王様になるか。今後の展開も野次馬としては面白い。