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2005/03/31 If it doesn't fit, you must acquit. 

アメリカの有名な弁護士、ジョニー・コクラン(Johnnie L. Cochran)が67歳で死亡。手術不能の脳腫瘍だったのだそうだ。彼の顔と名前が全米に知れ渡ったのは、O.J.シンプソン裁判の主任弁護士となり、OJに無罪判決をもたらしたから。もう10年前になるか。

「If it doesn't fit, you must acquit」という有名なセリフは、あちこちのパロディで使われるほど有名になったが、今回の死去のニュースでもさかんに引用されている。

そもそもこのセリフは、殺人現場に残された血染めの手袋をO.J.シンプソンが法廷ではめてみせた場面に関するもの。手袋は明らかにシンプソンの手より小さく、手が収まりきらなかったのには全米がアッと驚いた。私もシンプソンがやったと信じてたから(今でもguiltyだと考えているが)これにはびっくりしたなあ。

「If it doesn't fit, you must acquit:(手袋が)ピッタリ合わないのだから、無罪で当然です」、それから後の弁論でコクランは、くどいほどこのセリフを陪審員に向かって繰り返す。「思い出してください、手袋はシンプソンの手にフィットしませんでしたよ。無罪ですよ」と彼は陪審員を暗示にかけるかのように語り続けた。

OJ事件の時はアメリカ在住だったから、ずっとニュースをリアルタイムでチェックしていたのだが、この手袋の場面は、審理でシンプソン無罪を事実上決定付けた、まさにクライマックスに当たる場面だったといえるだろう。

もっとも、もしOJが殺害犯を雇っていたり、犯行が複数によって行われていたり、遺留品そのものが捜査かく乱を狙ったフェイクだとしたら、現場に残る手袋とOJの手が合わなかったことはOJが犯人でない何の証拠にもならない。しかし、ジョニー・コクランがこのセリフを繰り返すたびに、陪審員にはこれが確固たるOJ無実の決め手であるように響いていったのであった。

そういえばAP電はこんなエピソードも伝えている。「リーサル・ウェポン4」に警官が容疑者を捕まえて、お前には弁護士に連絡を取る権利があると告げるシーンがある。しかし、警官は容疑者にこうも警告するのだ。"If you get Johnnie Cochran, I'll kill you." (もしジョニー・コクランに電話したら、お前をブチ殺すからな) なかなか面白い。はは。

確かに、敵に回すとやっかいだが、味方につければ大変に有能な弁護士であったのだろう。OJは彼にいくら感謝してもしきれないに違いない。合掌。