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2005/06/21 久米宏「A」降板に思う

「人気キャスター、久米宏(60)が、司会を務める日本テレビ系「A」について、降板の意思を番組スタッフ側に伝えていた」とのニュースをYahoo!で見たのは日曜の夜。

「A」なんて番組は見たことなかったが、ちょうど始まる直前だったのでチャンネルを合わせてみる。あんまり興味を引かない内容。あちこちで取材した録画ビデオ流すだけの番組に、何のためにわざわざ久米宏連れてきたかが分からない。

「番組のテーマは「アジア」で、開始当初はスタジオとアジア各国をインターネットでつないでいた」というのだが、「アジア」はまだしも、今時「インターネットでつなぐ」ことが売り物になると考えた時点で、企画そのものがオソマツだったのでは。今朝のニュースでは、久米宏の降板は、視聴率低迷が主原因と伝えている。

しかし、今にして思えば、「ニュース・ステーション」は、「久米宏のための」番組としてよく練られていた。好きではなかったが。

高給払って朝日新聞から連れてきた温厚な「うなずき太郎」は、久米がどんなことを言っても、「そうですね」、「本当ですね」と愛想よく肯定して権威づけをしてくれる (この「うなずき太郎」は(もう何代目か知らないが)、新装開店なった「報道ステーション」でも同じ業務を遂行中である)。

ニュースに対するコメントは、スタッフが事前に下調べをして、久米宏がさも昔から自分が知ってたことのようにしゃべる準備をしてくれる。

久米宏に、語るべき自分の定見はないのだが、頭の回転は実に速い。「自民党は何でも悪」、「自分は庶民の味方」という単純化した図式に乗って、自分の意見・知識と他人のそれとを、「どう言えば自分が一番イイカッコできるか」という観点のみからゴチャ混ぜに使い分け、ペラペラしゃべる安易な構成。ニュースの後でしかめっつらすると、まるで何か正鵠を得た意見を開陳したかのようにお茶の間は受け止めてくれる。

「何が正しいか」、「何を伝えるべきか」が念頭にない軽薄な男でもちゃんと通用したのは、番組として久米に何を求めるかが、悪い意味でシッカリしていたから。「日本のお茶の間に正当なアンカーマンなんか、いらねーんだよ。ショーなんだから久米チャン出しとけば」という、TVギョーカイ特有の世の中を舐めきったコンセプト。しかし、それが番組としては当たったのだから、なんだか実に無念というか、脱力感を感じるよなあ。

さて、日本テレビは三顧の礼で久米宏を番組に迎えたというが、せっかく新番組「A」は開始早々に惨敗。今後はどうするのかね。やはり、中身が無いのだから、もっと周りから持ち上げてもらう企画でなければ視聴率は稼げないと思うのだが、久米宏。