同時爆発テロの容疑者として、ロンドン警視庁が地下鉄内で射殺した男性は、事件とは無関係だったという後味悪い結論。社会の安全を優先するのか、誤認による民間人への被害が無いことを最優先するのか。実に難しい。 IRA過激派対策のため、テロ犯人は射殺するという方針は昔からイギリスにはあったようだ。これについては、ドイツのテロ対策を考えても驚きではない。しかし、今回の捜査について、「自爆テロ犯は体に爆発物を巻いている恐れがあるため、撃つ場合は頭部を狙い射殺する」よう指示が出ていたというのは、ちょっとショッキング。地下鉄車内で警察特殊部隊に射殺されたブラジル人男性は、警察に声をかけられたとたん制止をふりきって地下鉄に駆け込んだということだが、頭を撃ったというのはやりすぎのような。関係ない回りの目撃者は大変なショックを受けただろう。 日本では、戦慄すべきオウムの地下鉄無差別テロ(そう、これも最悪のテロ事件)の捜査でも、誰も拳銃で撃たれたことはなかったはず。日本の捜査も、ある意味実に平和過ぎるような代物だった。20〜30年前の日本では、警官が拳銃を発砲すると、状況の是非と無関係に新聞が大騒ぎに騒いだ。発砲の都度、間髪を入れずに県警の本部長が「発砲は適切であった」と談話を出すのが恒例になってたのでは。 もっとも、犯罪の凶悪化や警官の殉職が相次いで、2001年12月に国家公安委員会の「拳銃使用規制」が変わっている。 「例:刃物を振り回している者が、通行人に危害を与えようとする時・予告なく発砲が出来る」、「例:傷害事件の現場で、犯人が刃物を突き刺してきた時、暴走族などが集結した現場で、凶器を持って襲い掛かってきた時・威嚇射撃が出来る」など、例を上げて、ある程度までは警官の発砲が以前よりも容認されたのだ。刑法犯罪、凶悪外国人犯罪の多発を考えると、個人的には、警官による銃器使用の抑止力をもっと高めてもらいたい気がする。中国から犯罪のために来日している連中は、日本警察も日本の裁判もなめきっているのだから。しかし、だからといって日本で容疑者を地下鉄で頭撃って射殺したら、大変なことになるだろうなというのも正直な実感だが。 |