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2005/08/10 国会解散の日。「御名御璽」

郵政民営化法案否決、衆院解散など、8日午後から長時間放送したNHKが高視聴率を獲得したとのニュース。私自身は帰宅してからしか見てないのだが、参院の郵政法案否決、直後の臨時閣議、署名しない閣僚への説得と罷免、閣僚罷免への天皇陛下認証、解散についての裁可、解散の詔書が紫の袱紗に包まれて衆院議長に届くなど、ずっと見ててもリアルタイム・ドキュメントとして面白かったろうなあ。衆議院の解散というのは戦後何度も繰り返された訳であるが、参議院の審議結果を受けて衆院解散というのは初のケースな訳でなかなか興味深い。

TVに映った衆議院解散詔書の控には、「御名御璽」との文言が。オリジナルには、天皇陛下の自書署名と国璽が押してあるはずだ。それにしても、天皇陛下が実質の決定に何か関与している訳ではないのに、実に面倒な手続きをやってるもんである。政治日程に合わせて事前に調整して、皇居でハンコ押すだけのために待機してもらってるのだろうか。書類が来たら突き返すことなく国璽だけ無条件で押す訳だから、公務とは言えなんだか虚しい気がしないだろうか、などと余計な心配までしてしまう。民間の会社でエライのにハンコ貰うほうがもっと大変だ。天皇陛下みたいに素直に(?)ハンコ押さずに、余計な疑念を持ってあれこれ質問したり、気まぐれで無茶言い出したりするのがきっといるから。はは。

そういえば、昔、伊丹十三のエッセイで、昭和天皇の執務風景を撮影したクルーのインタビューがあった。1枚1枚丹念にじっくり書類の文面を読んで、静かに筆を執り、ゆっくりゆっくりと署名する。そして、国璽を手にとって、これまた丁寧にギューっと押して、しばし動かないのだそうであるが、悠久とも思えるリズムでゆったり執務されるので、途中で撮影フィルムが切れてしまうのだとキャメラマンが語ってたなあ。あれは何の本だったか。まだ再刊されてないようだ。

「衆議院を解散する」と河野議長の宣言に、元気よく、「バンザ〜イ」と大勢が唱和しているところを見ると、国会議員ってのも根っから選挙好きというか、やはり戦になると血が騒ぐのが多いのだろう。本日のニュースでは、小泉首相の支持率がアップしたとか。現状の郵政民営化案だけが真の改革で、反対派は全て特定郵便局長会の息のかかった守旧派という見方はあまりにもnaiveだという気がするのだが、自爆とも思える解散劇は、たしかに大衆にはアピールしたのだ。しかし、造反組を公認せず、新たな候補を立てれば、自民票の食い合いが起こって他の党を利するだけ。小泉首相個人の支持率が自民党の勝利に直接結びつく訳ではない。選挙の行く末もいよいよ不透明になってきた。しばらくは政治から目が離せない。