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2005/09/03 NEW ORLEANS / STATE of EMERGENCY

今週はあんまりニュース見てなかったのだが、週末になってCNNで「STATE of EMERGENCY」という特番をチェックしていると、アメリカ南部を襲ったハリケーンの被害は実に深刻。堤防が決壊して冠水被害にあったニューオーリンズ市内が、略奪や銃撃放火などの犯罪で無法地帯と化しているというニュースには背筋が寒くなる。

アメリカが、自由とチャンスの国というのは一面の真実ではあるのだが、そのかわり貧富の差は激しい。人間も高尚なのから最低の鬼畜まで、日本では考えられないほどバラエティに富んで取り揃えているから、災害で警察が十分機能しなくなると、治安が元々悪い地域では確かに何が起こるか分からない。しかも、銃器所持している奴が普通にいる。南部ならなおさらだ。

今回の水害で逃げ遅れ救援を待って市内で立ち往生しているのは、ニューオーリンズ市内の貧困家庭が多い。南部の貧困家庭というと、CNNの映像見てもほとんど黒人である。なんだかまるで、アフリカであった災害と見まごうばかり。避難所で取材するキャメラの脇では、ホームレスなのか正気なのか疑うような、体格のよいレゲエ風のオッサンが怒鳴り散らしている。インタビュアーに喚いているうちに興奮のあまり過呼吸(?)で倒れる黒人女性。昔、アメリカ住んでた時、「COPS」という警察ドキュメンタリーでは、時折ああいう風景を見たが、災害の被害地で大規模にああいう阿鼻叫喚が起こってるというのは、アメリカでも珍しい地獄絵ではないだろうか。実にお気の毒だし早い復興を祈りたい。

逃げ遅れたのは、貧困家庭がほとんどが車を持っていないからだともニュースは伝える。スクールバスを盗み、大勢の避難する人を乗せてヒューストトンまで運転してきた少年も画面に映っていた。アメリカは車社会と言われるが、スプロール化が進んだ大都市中心部から近郊にかけて車を持っていない貧困層が住むエリアが広がっている。電車などのパブリック・トランスポーテーションが整備され、駅ができると逆にその周りの地価が下がるというのもアメリカでよく聞いた話。日本とは逆だが、車を持ってない貧困層が移り住んで来て治安が悪くなるからだと。

昔、都市開発を行うシミュレーション・ゲームに「シムシティ」というのがあった。元はPC用でプレステにも移植されたと記憶しているが、このゲームでは、道路を増やすと車で公害が増え都市発展に悪影響。電車網を整備すると、環境にも好影響で都市が発展する。アメリカ産のソフトだから開発者もアメリカ人のはずだが、現実よりも未来を信じていた理想主義者だったのだな、きっと。当のアメリカでこの理想が実現していないのは皮肉な話。

昨日の夜、官房長官が、この災害に対して日本政府から赤十字へ20万ドルを寄付すると発表。なんだかずいぶんケチな金額で、ちょっと耳を疑った。その程度なら、日本政府がやらなくとも、北島三郎や杉良太郎なら個人でもできる。オーストラリアの寄付が8百万ドル。インドネシア津波で大被害を受けた貧乏国スリランカですら、2万5千ドルをアメリカ赤十字を通じて寄付すると発表しているのに。なんかこう、福音書の「The Widow's Offering」を思いだすな。

前回のインドネシア津波、アメリカは最初ずいぶんケチな寄付金額を発表して後で慌てて増額したと記憶する。いくら忠犬ポチだからと言って、当の親分への見舞いに親分の間違いをキッチリと踏襲せずともよさそうなものだが。