ダイエー創業者、中内氏が死去。戦後、安売り商店から商売を始め、巨大スーパーという業態を日本で一大産業に立ち上げたカリスマ。土地の含みで借入れし、店舗を次々増やして売上を拡大するという手法は、やはり高度成長とバブルの産物。「売上が全てを癒す」そう言える時代はすでに過ぎ去ったのだ。もっともバブルというのは、過ぎ去った後でないとバブルと分からない。ダイエーの全盛期はどの金融機関も先を争って、うちから借りてくれとダイエーに日参していたのだから。 カリスマの最晩年は、落城寸前、燃え盛る天守閣で疑心暗鬼に陥り、城を守ろうとする忠臣にまで後ろから切りつけるような乱心ぶり。外から見ても痛々しかった。立志伝中の人物ではあったがなあ。うちの親父など、大学の先輩でもあり、たった一人で作り上げた大企業群を見て、偉いもんだと常々語っていたのであったが。神戸育ちにはダイエーというのは実に懐かしいブランドでもある。戦争で地獄を見て帰還し、焦土から出発して、飽くなき成功を貪欲に求め続けた彼は、ある意味、日本の高度成長と共に歩んだ「餓鬼」であった。冥土には、土地本位制も借入金も、金融機関の貸し剥がしもなかろうから、安らかに眠れるのでは。合掌。 |