バリ島自爆テロ。死亡した日本人観光客は51歳の男性で新婚旅行だったとか。お気の毒に。 しかし運命の神様も、いったいどういう意図で禍福を糾っているのか、幸福やら悲劇やら絶望やら歓喜やら、忘れずにキッチリ届けてきてくださる几帳面さには嘆息するしかない。人間の意志や希望を超越して運命の輪はただランダムに回り続けるのだ。So it goes. 信仰を持つ人なら、これもまた天の配剤と語るのだろう。 カネボウ粉飾決算事件は、関与会計士の処分にとどまり、中央青山監査法人そのものには法的追求は及ばないようだ。「日本版エンロン」とまでは行かないな。 しかし、大企業の会計監査というのは関与社員だけでやれるものではない。大人数の監査チームがあり、実務を分担した会計士は、それぞれに監査調書を作成していたはず。逮捕された関与社員は、辻褄の合わない監査調書を自宅に隠していたとの報道もあった。しかし、いくら上司が握りつぶしたとしても、それを飛び越えてでも不正を報告できるような監査法人内部のコンプライアンス体制がなかったというのは、今後、企業の内部統制に関する監査強化を担う会計監査人として、まことにお粗末で恥ずかしい話。理事が全員退任だそうだが、まあ、それくらいは当然か。 逮捕された会計士が監査を担当していた企業が動揺しており、「逮捕された会計士が8年間、監査を担当していた損保最大手の「東京海上日動火災保険」は先月、同監査法人に対し、改めて「監査証明」を求めた」とのニュースもある。同監査法人から「監査が厳正に行われたことを確認した」との文書を1枚入手したという。 しかし、財務数値の作成責任は、本来、企業の経営者のほうにあり、会計監査人は独立の立場からそれを確認しているだけ。カネボウの件でも粉飾する意図は経営者側にあり、会計士を説得して巻き込んだのであって、元来、会計士側には決算を粉飾する一義的な動機など存在しないはず。もしも、会計士が悪意あったり無能であったりしても、財務数字の正当性は経営者側が十分に確保できる。「監査した会計士が誰であれ、我々の財務数値の正当性には影響ありませんよ」と泰然自若としているのが当然で、慌てて妙なことをすると、かえってクライアント側の信頼性に疑念を招きかねない行為である。まあ、中央青山の内部審査体制に疑義があるから、今後、会計監査人を変更するというなら話は分かるのだが。 |