楽天のTBS株買収もあれこれ騒がしい。「放送とネットの融合」と言うと聞こえはいいが、ホリエモンのニッポン放送株取得の時にも言われた同じお題目。しかも、フジと決着して株を引き取らせたら、ホリエモンはその後何も語ってない空疎なお題目だ。 勿論、アメリカで起こったことなら、いずれ必ず日本でも起こる。しかしアメリカでは逆に、例えば往年のネット企業の雄AOLは既存のメディア、タイム・ワーナーの傘下に入り独立企業としては見る影もない。ネット企業は何のコンテンツも持たないし、コンテンツを創造する力も無い。何度か書いたが、ネット・IT系企業があまりにも過大評価されてファイナンスでお金が余りに余り企業買収ばかり考えているのは、むしろ日本の特殊事情では。ホリエモンや楽天の買収劇の解説として、「これがワールド・スタンダードなんですよ」としたり顔で解説する連中を無条件で信用する気にはならない。むしろ、まだ未成熟な日本のマーケットという特殊な事情が生んだ「アダ花」としか思えないのだが。 そういう面では、コンテンツを含む豊富な資産を持つ既存のTV局の株価のほうが、日本のマーケットでは過小評価されているともいえる。しかし、既存の日本TV局経営陣も、コスト意識無しにボロ儲けできるTV放送という「おいしい」ビジネスモデルに胡坐をかいて、長年自らの企業価値を高める何の努力もしてこなかったのは事実。これは、ワールド・スタンダードを日本に定着させる争いというよりも、日本の資本マーケットの未整備の矛盾と怠惰なサラリーマン経営者の間隙を突いて、今のうちに金儲けしようと大きな金が動いているに過ぎない気がする。 |