数日前の月。沈む前が、まるで芝居の背景に使う書割のように印象的。この空を見て思いだしたのが、フランシス・フォード・コッポラ監督の「ワン・フロム・ザ・ハート」。 現実をそのままキャメラに切り取っただけでは逆に現実に見えない。映画特有の、見る者が共有できる一種の「ウソ」、それを「映画の文法」と呼んでもよいが、それがあってこそ、画面に現実が出現するというアンビバレンツな不思議。映画のスクリーンに見え隠れする虚実をひとつのテーマとして、映画と演劇と現実が軽妙に交錯するように折り込んだ実に印象的な映画であったが。もっとも興行的には大コケして、コッポラのプロダクション財政に大打撃を与えたらしい。好きな映画だったがなあ。こんなことを思いだしたのは、娘であるソフィア・コッポラ監督の「ロスト・イン・トランスレーション」DVDがAmazonから届いたからかもしれない。 3連休もあっという間。午後は浅草寺に。お参りしてからおみくじを。ここは筒振って出た番号の引き出しを自分で開けて1枚もらうセルフサービス。順番待って筒振ろうとすると、既に引き終わってた隣のオバちゃんが、私の目の前の筒に自分が握り締めてた番号棒を戻そうとする。しかし、私が見てた限りでは、このオバちゃんが振ったのは隣の筒なんだが。そこから出た棒を私の前の筒に入れると、この筒にその番号が2つあり、隣には1本もないことになり、確率が違ってくるんだが。もっとも1等賞当たる福引でもなし、どうでもよいか。オバちゃんの間違いも世の中の不確実性のうち。すべて含めて運命の輪は回り続けるのだ。 おみくじは「吉」。「新築・引越し:よいでしょう」などとある。しかし、そうかなあ。 |