昨日夜に寄った日本飯屋のカウンタで、品書きの黒板に「カツオたたき」とあるのを発見。生ものに期待できる店ではないのは重々承知だが、つい注文してしまった。出てきた切り身は色がくすんでいるものの、ま、一応カツオのように見える。白葱微塵切りと大根おろしという妙な薬味にポン酢。食すると、なんとか一応はカツオのような味もする。しかし日本の寿司屋で食べたカツオとは、まったく似て非なるもの。日本の今年は、結構春から脂が乗っていると聞いたが。まあ、しかし、無いよりまし。Better than nothing なのだと心に言い聞かせながら。これで一皿15ドル。ううむ。 おそらく、表面を焼いてからパックした冷凍物を日本から輸入してるのだろう。同じような商品は、日本食スーパーで売ってるのを見たことがある。こちらでは、日本食レストランの食材は、日本食スーパーで売ってるのと大概同じものというのが普通。築地の市場があるわけでもなし。承知はしててもガックリするものはガックリするわけで。 表面を藁で燻して香りをつけた「しみづ」のカツオ、春は生姜で、戻りカツオになると芥子で食うのだが、あれは美味かったなあ。新鮮な背の部分を分厚く切りつけた「つかさ」のカツオやら、種札には出てないが時折切ってもらった「新橋鶴八」のカツオなど、今でもはっきりその味を思い出せる。別段カツオに限らず、思い出せるのは不幸なことか幸せなことか。ま、幸せなんだと思わないとしかたがない。 福井日銀総裁は、村上ファンドに出資してたおかげで、株持ってた事もいかんとか、あちこちから袋叩き。 アメリカでも、議会の承認を要する高官の任免では、セクハラ問題やら、不法移民雇用問題やら個人的事情を探られて、与野党で適格性について叩き合いになることはある。しかし基本的には法律に違反してるかどうかが問題。日本の場合、ホリエモンや村上ファンドに関連した者はすべて「穢れた」、「薄汚い」とでも言わんばかりの追求。 証券取引法や各種規制には、すでにインサイダー取引規制について詳細の定めがあり、その規制は一応昔から機能している。だからこそ村上代表が逮捕されたのだ。日銀総裁が個人の金を村上ファンドに投資してはいけない法律がある訳ではないだろう。際限なく「道義的責任」を持ち出して叩いてよいという風習も、やはり日本独特のウェットで合理性に欠けるマス・ヒステリーだ。「李下に冠を正さず」にもちょっと該当しないと思うがなあ。今は亡き山本夏彦なら、正義の名を借りて現れる嫉妬はタチが悪いと語るだろう。 もしも、資産無い人間こそが日銀総裁にふさわしいという国民的合意が形成されるのなら、先般の国会議員資産公開で、堂々と「資産ゼロ」と申告した杉村大蔵議員なんか適任では。あれを総裁にしたら、実に面白いだろうなあ。いや、もちろん何の責任も持てないが。はは。 |