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2006/09/27 セインツの勝利。聖者は、確かに街にやってきたのだった。

一昨日の月曜は、NFLマンデーナイトフットボールをTV観戦。New Orleans(ニューオーリンズ)で行われる、Saints vs Falconsの試合。一昨年のハリケーン、カトリーナで大被害を受け、ようやく復旧したNew Orleansの街。そして街のシンボル、スーパードームに、地元NFLチームであるSaintsが1年ぶりに凱旋して試合をするという感動的演出。Saints(聖者)とは、もちろん、「聖者が街にやってくる」からつけられた名前。

地元のファンは、「Saints is back」、「Dome, Sweet Dome(Home, Sweet Homeのもじりですな)」などのプラカードを持って地元チームの帰還を大歓迎。これでSaintsが負けたらシャレにならないところだったが、開始早々、Falconsのパント・ブロックに成功。転々と転がるボールを抑えていきなりのタッチダウンで先制。これで完全にゲームのペースをつかんだ。地元の大観衆も大盛り上がり。結果的にアトランタ Falconsを完全に封じ込めて圧勝。ニューオーリンズにはよいニュースになった。

FalconsのQB、Michael Vickは、卓越した運動能力を感じさせる、いわゆる投げて走れるQB(クォーターバック)だが、Saintsのディフェンスが素晴らしく、ほとんどのパスを封じられ、活躍することができなかった印象。

SaintsのQB、Drew Brees はパスもなかなか正確、沈着な動きで攻撃の核として活躍。身長が6-0とQBにしてはちょっと小さいのだが、解説者は彼の活躍を見て「QBが6-5ないとダメだなんて誰が言ったんだ」などと叫んでいた。ま、背が高いほうが有利なのは事実だが。

アメリカンフットボールの攻撃の司令官役、QBに要求される条件というと、背が高くしかし頑丈、かつ敏捷さも必要、足が速く、肩も強いという総合的な運動能力に優れてるのはもちろん、動体視力もよく、いつも沈着冷静、判断力に優れ、記憶力もよく、チームをひきいるリーダーシップも必須。ま、こんなところか。いや、こんなところというか、これではまるでスーパーマンである。例えば、おそらく、プロ野球で卓越した能力を示したアスリートを連れてきても、NFLのQBとして通用するのは、その内何割もいないだろう。

高校・大学で厳しく淘汰され、プロ・リーグであるNFLにたどりつくQBはほんの一握り。そして、毎年のドラフトでプロ入りするQBのうち、成功し名声を得るのは、これまた1年に一人出るか出ないかといったところだろうか。残ったのは、確かに、アメリカン・ヒーローを体現した、一種のスーパーマン。アメリカは確かに、何にでもマーケットが存在し自由競争の徹底したところなのだが、一握りのとてつもない成功の影に、そこにまで至らなかった凄まじい数の挫折が、省みられることもなくひっそりと存在しているのも確かなのだ。