土曜の夜は、よく行く日本レストランの寿司カウンタ。DST終了後の週末は、午後4時から開店するとのこと。まあ確かにもう4時半には日が暮れて寒いから、早く来て早く帰宅したほうがよいかも。 刺身を貰って日本酒など。日本の寿司屋では、ツマミにマグロはまず貰わない。握りのほうがずっと美味いと思うからだが、こちらではそんな贅沢言ったら、食べるものがなくなってしまう。 砂ずりの大トロ部分は天然物。気持ち硬いのは小さめのマグロだからか。もう一種類、これは畜養ですがと、筋間を剥がしの身のような中トロ部分を。これも臭みなく、なかなか美味い。親父によると、マグロはボストンの生を中心に買い付けてるとのこと。アメリカには、日本の築地みたいな大きな魚市場やマグロ仲卸が存在する訳ではない。中間業者もマグロ1本買って売れ残ると始末に困るだろう。ある程度の量を定期的に買わないと、なかなかよい物を回してもらえないなどの苦労話も聞きながら。 昔、そういえばボストンのダウンタウンにあった日本飯屋(名前は忘れたなあ)の寿司カウンタで、中トロの握りなど所望すると、まだ若い職人が首を振って、「今日は止めておいたほうがよいですよ」と語ったことがあった。なかなか正直な職人だったな、など妙なことを思い出したり。アメリカで寿司なんぞ食う必要無しと言われればその通りだが、やはり日本人だから、毎日アメリカ飯ばかりでは死んでしまう。 この店のマグロは、それほど悪くない。白身もなかなか健闘。だが貝類は総じてダメだ。イカ、タコは語れるレベルではない。光り物も、まあ一応あるというだけのこと。この店に限らずアメリカの日本飯屋は、「better than nothing」と自分に言い聞かせないと。日本人の多い西海岸LAなどは、またちょっと違うかもしれないが。 魚の素材もそうだが、握りになったらまず酢飯がダメ。アメリカ人にも受け入れられるようにするためか、どこの日本飯屋でも、酢も塩もボンヤリと、かろうじて酢飯であると判別できる程度。これもちょっとなあ。 逆もあって、韓国人経営の怪しげな日本飯では、ランチの天ぷらうどんにセットでついているお握りが酢飯だったり、うな重を頼むと冷たい酢飯の上に熱々の鰻が乗ってたりする。白米と酢飯の使い方についてコンコンと説教したくなるようなお粗末さ。なんであんなに感覚が違うかね。 日本で通ってた寿司屋の、それぞれに特徴ある酢飯の味は、今でもはっきりと思い出せる。ずいぶんと遠くまで来てしまったなと、そんなことを思いながら。 |