日興コーディアルグループは上場維持との東証判断。日経衛星版の1面にもデカデカと記事が。確かに意外なニュース。日経の編集部自身が、「なぜ上場廃止と報道してきたか」を説明した囲み記事も。何度も「上場廃止が決定する」と紙面で報じてきた訳で、結果的には大誤報となったのだから。しかし、世の中の大勢も上場廃止ではと思ってたはず。なぜかというと、自然なことながらライブドアとの比較である。 同じく決算粉飾の疑い。かたや経営者は逮捕され塀の中に落ち、会社は上場廃止。かたや制裁金は課せられたものの刑事罰はなく、会社は上場維持。どこからこの差が生まれたのか。 そもそも東証の上場廃止基準自体、ずいぶん古い代物で、数値基準がなく実に曖昧。適時開示に関するルールには、売上の10%とか利益の30%とか、ある程度の目安があるのだから、上場廃止にももう少し定量的基準を設けたほうがよい気がするな。 西武鉄道やカネボウと違い、会社の組織的関与が証明できなかったというが、「旧経営陣の一部が主体的に関与していた」との日興自身による内部調査が公表されている。逆にホリエモンは、裁判で「自分は粉飾に関与してない」と証言。経営陣がハッキリ関与してたと証明できるのは、いったいどちらか。株主保護の観点とも解説があるが、ガラガラと株価が下落し最終的には紙くずになったライブドア株主は、果たして保護しなくてよかったのか。東証の上場維持に関する理屈は、どうも後から取ってつけたようなモノでしっくりこない。 もっとも、ライブドア上場廃止も、正式に決まるまで、東証の対応は、実に煮え切らないノラリクラリとしたものであった。こんな対応を見てて思うのは、東証というのは、基本的にお役所を見て仕事する体質が染み付き、責任を取るのを嫌い、外部の圧力にはとんと弱い組織だということだ。 ただ、本当に政界、官界からの圧力があったとしても、いったいどんな筋からで、何を目的としたのか、そこがイマイチよく分からない。シティが既に発表していたTOBとの関連も、果たして判断に影響したのかしなかったのか。そのうち、なんらかの背景が報道されるだろうか。まあ、今にして考えると、ホリエモンはちょっと気の毒な気さえしてくる。この16日に判決だそうだが、有罪になったらまさに踏んだり蹴ったり。まさか実刑にはならないと思うのだが。 |